はいこんにちは!シンプリィライフのおおのです!
今回紹介する本は、岡南さんが書いた「天才と発達障害」です。
天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル
本書は、あのサグラダ・ファミリアの主任建築家として有名なアントニオ・ガウディと不思議の国のアリスの作者として有名なルイス・キャロルが現代で言うところの発達障害だったことを引き合いに、認知の偏りについて理解し、教育や人間関係をより良くしていくための本です。
さっそく結論から言ってしまうと、結論は
「発達障害は才能である」
ということです。
ポイントは3つあります。
1.視覚優位と聴覚優位
2.ガウディとキャロル
3.発達障害を才能に変える方法
それでは順番に見ていきましょう!
ポイント1.視覚優位と聴覚優位
認知とは、目の前のものを視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚という五感を使って知り理解することをいいます。
で、認知の偏りというのは何かというと、たとえばおなじ季節の移り変わりを音によって感じる聴覚優位な人と、目によって感じる視覚優位な人がいたりしますよね。
人はそれぞれ優位な感覚と感度に違いがあり、その優位性のことを認知の偏りと言っています。
そして、そういう認知特徴の違いというのは実は脳の中の神経特徴の違いから生じるものなんです。
本書ではまず、視覚優位と聴覚優位の二つの優位性を掘り下げて考えています。
視覚優位の能力
・1度に多くの情報を取り入れて同時処理を得意とする直感的思考タイプで、
・読んだり聞いたりした内容がいちいち映像に変換されるので読む速度が遅かったり長い話は途中で理解不能になることがあります
・土木、建築、デザイン、映像、生物学、物理学、パイロット、外科医、スポーツなど、必要とする思考が観察や空間をよりどころにしているものに才能を発揮します
聴覚優位の能力
・空間認知が苦手で
・ものごとの概念や関係性をとらえることが困難
・以前から行われているやり方や方針などを引き継ぎ継続するような学習や語学などに優れ、
・順番に段階を追って理解することが得意です
・語学関係、音楽関係、俳優、小説家などの世界に必要な能力をもっています。
このように人はそれぞれ優位な感覚とその感度が違っており、それによって認知の違いが生じます。1人の人の中には、優れた感覚もあれば反対に弱い感覚もあるわけです。
ポイント2.ガウディとキャロル
モーツアルト、エジソン、アインシュタインなど、いわゆる天才と呼ばれる人たちの多くが発達障害だったと語られています。現代でいうところのアスペルガーやディスレクシアは、ガウディやキャロルの特徴について知れば、発達障害は才能なんだと理解することができます。
ガウディ
ガウディの認知の偏りは視覚優位で、その中でも「映像思考」と言われる才能の持ち主だったようです。見た光景をそのまま記憶し、その色・形・素材感・大きさ・奥行きなどの異なる属性を同時処理する才能に長けており、そのうえ存在しないものを脳の中に映像で具体化することができたそうです。
いっぽうで、ガウディは大人になってからもつづりや単語の発音の間違いを修正できない特性があり、軽いディスレクシアがあったと推測されています。
映像思考の人は読み書き障害、読字障害などと言われている「ディスレクシア」である可能性を強く秘めており、その場合、大人になっても綴りと読みの問題を修正できないことがあるそうです。
また、視覚優位な人は年を取ることで認知の特徴が特化して聴覚不全になりがちで、加えて頑固になっていく傾向があるそうです。
ガウディは残された時間をサグラダ・ファミリア聖堂の現場だけに専念し、聖堂の全体構想を残すことにすべてをかけたそうですが、その頑なさはまさに認知の偏りからきているのかもしれません。
キャロル
次にルイス・キャロルについて。
キャロルは聴覚優位の人で、オックスフォード大学で数学を教えながら、児童文学の草分け的作家として才能を開花させた人です。
自分のやりたいことには努力を惜しまない性格を持ち、シリアスな内容をたちまちのうちに軽快なパロディにかえることができる敏感な言語感覚の持ち主だったそうです。
数値や序列や規則を重んじる性格で、42という数字に愛着を持ち著書の中でも頻繁に使っていました。
そのほかの特徴として、他人の気持ちを理解できないところがある、ぎくしゃくした不自然な歩き方をする、などの記録が残っています。
これらの特徴から、キャロルはアスペルガー症候群だったのではないかと言われています。
アスペルガー症候群とは、コミュニケーションや対人関係が苦手、興味の偏りやこだわりが強い、感覚の偏りや動きのぎこちなさがある、という自閉症とよく似た特性を持っている発達障害のひとつ。
キャロルは数字へのこだわり、序列や規則を重んじる性格、ぎくしゃくした歩き方の他にも、相手の表情を読み取れない相貌失認(そうぼうしつにん)、うまくしゃべれない吃音障害と、多くの特性を持った人でした。
ポイント3.発達障害を才能に変える方法
発達障害を持っていた彼らが、その認知の偏りを才能として発揮できた共通の理由は、彼らの短所を理解し、育て、励まし、支え、導く人の存在があったからです。
ガウディには、彼の才能を見い出し経済的な支援をしながらも自由に創作活動をさせることに尽くしたグエル伯爵という存在が、
キャロルには、彼を必要とし、本を書いてくれるようにせがんでくれた『不思議の国のアリス』のモデルになったアリス・リデルという少女の存在がありました。
冒頭で「発達障害は才能である」と言いましたが、周囲の人が発達障害を発達障害のままにしておいては才能は花開くことはありません。
すべての人が認知の偏りを持っている
まずは、自分も相手も、すべての人に認知の偏りがあり、同じものを見ていても感じ取っていることは違うんだということを受け入れる必要があります。
あなたは視覚優位?聴覚優位?
そして、ガウディやキャロルの特性を頼りに、自分や目の前の相手は視覚優位・聴覚優位のどちらなのかを見極めてみましょう。
認知特徴に合わせた小学生の学習方法
そうすると、小学生を相手として考えるならば、個々の認知の違いは学習方法においてはとても重要なことがわかってきます。
学校では、一般的には聴覚から言語によって学び、再び言語で表現することが求められます。聴覚優位な子はまだいいかもしれませんが、視覚優位の子は映像で記憶し理解しているので読み書きには問題が生まれやすくなります。
視覚優位な子には聴覚からの言語や読み書きの習得より先に、好きなことに興味を抱きながら考える力を伸ばしてあげることが必要で、
反対に聴覚優位の子は言語での記憶・理解や処理が得意なので言葉でひとつひとつ教えて積み重ねるように教え導くことが必要ということになります。
まだまだある、認知特徴を見極めるメリット
視覚優位な人は全体から部分を理解することが得意で、関連性を重視する傾向が、
聴覚優位な人は部分から全体を理解することが得意で、規則や序列を重視する傾向がある、ということを知っておくと、大人でも仕事や家庭のコミュニケーションによって相手の才能を開花させられる可能性が生まれます。
どうも話が伝わらない、相手の言っていることが理解できない、自分のやっていることがなんかしっくりこない、という問題は認知の偏りから来ている可能性が大いにあるというワケです。
まとめ
はい、というわけで今回は岡南さんの「天才と発達障害」について紹介しました。
天才たちの当時のエピソードを知ることで、認知の偏りが大きければ大きいほど素晴らしい才能を発揮する可能性が高まるということが分かりました。
たぶんわたしたち人間は、お互いの認知の偏りを感覚的に知っているのだと大野は思います。
そして、その人らしさを尊重し合って生かし合ってきたからこそ、豊かで多様な文化を築いてきたし、これからも築いていくのだなとわかりました。
「みんなちがって、みんないい」という言葉の意味がカラダにしみ込んでくる本です。
ユーチューブではアニメーションとナレーションで解説しています。
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