お伊勢さん内宮に行った時の話。
ぼくは優柔不断な男で、一番大事なことが定まっておらずなかなか何かを決定することができない。先延ばし先延ばしするタイプの人間だ。
伊勢市駅から内宮に行くのも、バスがいいのか、それとも徒歩で行こうか、迷い迷いながら宿泊先から駅に向かった。前日結構歩いて足の裏が痛かったのだが、せっかく時間のある旅だから歩いていくのもいいなぁ…とか考えながら笑。
結局、伊勢市駅に着いても決められず。
さてどうするかな?とグーグルマップで調べていたら、「五十鈴」という駅があり、そこからなら歩く距離短いけど一応歩くから「中庸を取ろう!」とかなんとか言って電車に乗った。
もう迷わず歩くのみ
五十鈴駅に着き、歩き始めた。
灯篭といえばいいのか?大きくてお伊勢さんらしい街路灯が並ぶ道を歩いた。
そしてまた迷う
その日は真っ先に内宮に行くと決めていたハズだった。
そのあとに別宮とやらを回ろうと。
「なんか入ってみたい…」
そんな衝動にかられ、迷いながらも「ま、いっか」と思い入ってみた笑。
素敵なところでした。
偶然の出会い
月読宮を出るとき、入った場所からではなく、違う道へと通じる出口から出た。
さっきの巨大な街路灯はない道を歩く。
途中、目に止まるものがあった。
最近ウサギによく遭遇するので、常にウサギが気になっていたら、なんかウサギっぽい形だなという勘違いをする石に出会い、ぼくの足を止めた。
「んー…ウサギっぽくはないか…」
と思いながらもきになるので写真を撮っていたら、後ろの竹やぶからガサガサと音がした!
振り返るとおっさんがモゴモゴと何か言いながらこちらに近づいてくる!
「この人、何なんだ?」と思いつつも、話をした。
何をやっているのか聞いたところ、
「竹が伸び放題で、電線に絡まると危ないから切ってる」
と。なんて良い人なのだ。
「どこから来たの?」と聞かれたり、
「おじさんはずっとここの人なの?」とか、「何歳なんですか?」と聞いてみたり、
「この石はウサギですか?」と聞いてみたら、「関係ない」と言われたり笑、
何となく話をした。
この方、幸(みゆき)さんとおっしゃるようで、現在89歳。
若い。元気だ。何でも、お伊勢さんで神様にお供えするご飯を作るありがたいお仕事をされていたそうだ。
この石のある場所は「清水社」と言い、水が湧き出る場所として祀ってあったそうなのだが、道路ができるということでこの場所に移動したら、水が出なくなってしまったということだった。
みゆきさんの誕生秘話
このみゆきさん、なんでも89年前に昭和天皇がお伊勢さんにお参りに来た日に産声をあげたそうだ。
昔は天皇が来ると言えば1日中、道路を封鎖していたらしい。
で、その頃は産婦人科ではなく、助産師さんが家に来て赤ちゃんを取り上げてくれていた時代だそうで、「産まれる!」という時に道路が封鎖されていたと。
助産師さんは警察の人に、「赤ちゃんが産まれるんです!赤ちゃんを取り上げるのが私の仕事です!」と力強く伝え、「急いで通って行きなさい!」と許可を得たそうだ。
で、なんとか間に合い、みゆきさんが無事産まれた。
封鎖されていた道路は「御幸通り」。
だからついた名前は、男だけど「幸(みゆき)」なんだ。
さっき歩いた巨大な街路灯がある道だった。
なんだかよく分からないが、感動して涙が出てきた笑。
まとめ
迷って電車で行かなければ、迷って月読宮に寄り道しなければ、聴けなかった話。
迷って良かった。迷ってもいいんだ。
きっとこれからも迷うけど、大丈夫だ。
そんな感じで、力をもらった旅だった。
読んでいただき、感謝いたします。
それではー!