イノベーションファシリテーターという職業は、偏見や先入観が蔓延し、さらに人と人のつながりが断絶され個人主義的な社会が進行し始めているいま、もっとも必要な職業であり、そんな行き止まりの社会をより良く変革できる存在だと思います。
<参考記事>キミは、世界の革新のカギを握る「イノベーションファシリテーター」という職業を知っているか?
というか、イノベーションファシリテーターという職業とか名前にこだわっててはいけないんだろうなーとこの本を読んでいるとわかってきました。
自分にしかできない・自分にしか提供できない価値があるということに気づいていない人たちや、自分を表現することを我慢してモヤモヤしながら世界をさまよっている人たちに、「こんな考え方もある」「こんな生き方だってあるよ」と世界をリフレーミングさせ、個々の視点と力がつながることでできる事はたくさんあるじゃん!と前向きにさせてしまう人たちはみんな、個人を世界を社会を変革させるイノベーションファシリテーターみたいなもんなのでしょうね。
大きくいってそんな感じの人がイノベーションファシリテーターなのだとわたしは理解しておこうと思っています。大事な部分を捉えておかないと、手法や技術に走って本質を見失ってしまうことだってありえますからねー。
イノベーションファシリテーターとは、具体的には「フューチャーセッション」なる対話の場をつくり、多くの異なる視点を持った人たちを集めて気づきと学びの場を創造し、社会的な課題を解決するためのアクションへとつなげる人です。
そんなイノベーションファシリテーターを名乗る人がチェックしておいたほうがいいことが3つあることが、この本を読んでわかりました。それらがうまくつながれば、社会をより良く変えていくどこかのスイッチが入るのです。では、イノベーション・ファシリテーター ― 3カ月で社会を変えるための思想と実践を参考にしながらまとめます。
1.想いを持っている人に純粋な好奇心と本気の関心を寄せる
ポイントは、相手が困っていることに心から共感することです。
「どうしてそのように思うのだろう?」相手の困りごとに心から興味を持てば、自然に当事者の想いの本質に触れる質問が生まれてきます。
大切なことは質問を覚えることではなく、当事者に本気で関心を持ち、話に耳を傾けることです。
そうすれば自然によい質問を投げかけることができ、相手もイノベーションファシリテーターであるあなたを信頼して、一緒に想いの本質を見つけようとしてくれます。
まずはこれです。
自分が持っていない視点で、なにかに対して「変えたい!」「良くしたい!」という強い想いを持っている人をまずは見つけなければなりません。で、その人の想いがどこからくるものなのか?どうしてそう思うのか?を純粋な好奇心を持って紐解いていくんです。
そうやって聞いていくうちに、その当事者が持つ「本質的な想い」に触れる瞬間に出会えます。
例えば「この商品をたくさん売りたい」という表面的な想いは、掘り下げてみると実は「こんなことに困っている人を助けたいから」という想いから来ていた、というようなことです。
その想いの本質が人々の共感を呼ぶことのできる価値観(シェアードバリュー)を生むものであれば、多くの人が自分事になれる課題となり、さまざまな視点を持った人たちが集まるタネになるわけです。
2.多くの人が一瞬にして自分事になって考えはじめてしまう最高の問いを投げかける
フューチャーセッションには、課題に関心を持つステークホルダーの参加が欠かせません。
その方法として、フューチャーセッションでは、場の中心に置かれる「問いの設定」を行います。ステークホルダーが参加したくなるワクワクする問いを立てることで、多様なセクターの人々に参加を呼びかけるのです。
1.で引き出した当事者の想いをそのまま投げかけても、その当事者と同じ属性の人にしか響きません。フューチャーセッションで大切なのは、多様な視点を集めて、課題への新しい視点に気づくことですから、いままで関わることのなかった人たちに集まってもらうことが大切。
そこで、当事者の「想い」を本当に幅広い分野の人たちみんなが考えたくなるような「問い」に変換するテクニックが必要になってきます。
たとえばこんな感じ。本から引用です。
身内に認知症の患者がいて悩んでいる家族がいるとします。そのときに「認知症の人に手厚い社会福祉を」と言ったところで集まるのは、認知症の方を身内に持つご家族の方など当事者意識の高い人たちだけです。
そこで、この想いを「認知症になっても自分らしくくらせる街ってどんな街?」と変換してみましょう。
「認知症」という言葉と「自分らしく」という言葉の組み合わせが新鮮で、集まった人たちとなにか話してみたくなります。
このように想いを問いに変換することは、ステークホルダーの幅を大きく広げるテクニックはイノベーションファシリテーターにとってとても重要なことだというのがよくわかってきました。
こういった人の興味を引くような問いの投げかけを、ネット上で「炎上」という形でやってしまう人がいます。
なんかムカつく!とか、人の気持ちをなんにもわかってねえ!とか思う問題提起というのは、実はムカついた人にとっては図星な問いということ。だから心がざわつくのです。
人の心をざわつかせ、一瞬で自分事にさせてしまう問いを立てられる人は魅力的な人ですよね。
3.その場にいる人たちを一気につなげ、関係を変容させてしまう!
フューチャーセッションを開催するイノベーションファシリテーターのもっとも大切な役割です。
お互いの立場や目的の違いから生まれるその葛藤をどうにかして乗り越えることで、登場人物たちの関係に変容が起こります。
面白い映画には登場人物たちの葛藤があり、お互いの目的を達成するために葛藤を乗り越えチームを結成して前に進んでいく姿が描かれるといいます。少年ジャンプのワンピースなんてまさにそうですよね。偶然出会った目的の違う人たちが、ひとりのリーダーによってつながり、同じ船で旅をはじめてしまうのです。
ひとりではいける場所が限られてくるけど、力を合わせればワクワクするような高みに到達できる可能性もでてくる。仲間と一緒の方がレベルアップも早いし、冒険の大きさや面白さもどんどん膨らんでいくというもの。
いやー!素晴らしいわー!
まとめ
イノベーションファシリテーターはルフィーみたいなもんですね。
そうやってさまざまな個性が自分を臆することなく表現しながら、お互いの足りない部分を認め合って、おぎない合いながら、もしものときには力を合わせて、大きな波を乗り越えていける世の中になれば素晴らしい。
この本を読んで、イノベーションファシリテーターにはそれができる可能性を感じました。
そんな人になりたいね!
それではー!