ありとあらゆるものがブランドである。コカ・コーラ、フェデックス、ポルシェ、ニューヨーク市、アメリカ合衆国、マドンナ、そしてあなた—-そう、あなたもだ。ブランドとは、何らかの意味と連想を担った記号のことである。だが、優れたブランドの機能はそれだけにとどまらない。ブランドが製品やサービスに独自の趣を添えるのである。
これはフィリップ・コトラー著「コトラーのマーケティングコンセプト」のブランドの章の冒頭から引用したものです。
あるキッカケで、ブランドってなに?ブランディングってどんな仕事?というのが、ここ最近の私の好奇心を動かしています。これにもまた出会いを感じます。おもしろい。
ということでネットで調べたり、コトラーの本を読んだりしてブランディングについてまとめてみました。
スポンサードリンク
ブランドの始まり
ブランドの語源は、「焼印をつけること」を意味するbranderというノルウェーの言葉から派生したものと言われています。古くは自分の家畜などに焼印をして、他者の家畜と区別するために行われていた単に「識別」するためのものでした。
同じように、当初は競合他社の商品との識別のために存在していたブランドは、その商品が優れていた結果広く使われるようになると、次第に「品質が良い」とか「使い勝手が良い」といった判断基準を消費者にイメージさせるような働きを持つようになりました。
そして、商品を表すイメージが確立されると、次第にブランド自体が重要な意味を持つようになっていったようです。
ブランドと信頼について
いまやブランドは、製品や企業に関するあらゆる印象や体験の蓄積を意味し、顧客の期待やイメージを「常に裏切らない」ことを約束するものです。
ブランドは「信頼」そのものです。ブランドは企業と顧客をつなげる重要な役割を果たしているのです。
元ユニリーバ会長のナイル・フィッツジェラルドはこう言っています。
「ブランドは信頼の貯蔵庫のようなものだ。信頼の重要性は、選択肢の多様化にともなって、ますます高まりつつある。消費者は単純な生活を送りたがっているのだ。」
そして彼はこうも言っています。
「信頼を思い通りにできる人は、必要とするあらゆる事実や数字、裏付け証拠、支持を得られるが、思い通りにできない人は何一つうまく行かないものだ。」
顧客はブランド、つまりその商品や企業に対する「信頼」によって、製品の品質や期待できる特徴、提供されるサービスなどを判断します。時間のない顧客はブランドのおかげで即座に購入の決断を下すことができるのです。
ブランドを提示するということは、顧客のイメージも含めた提供内容に関して、顧客と契約を結ぶということです。
つまり、だからこそ、
ブランドによる契約は正直なものでなければならない
、のです。
photo credit: jcwpdx via photopin cc
ブランドはいかにして確立されるか?
企業にとってのブランディングとは、ブランドを通じて企業価値を向上させるための一連の活動のことをいいます。ではいかにしてブランドを確立していくのか?
以下、「コトラーのマーケティングコンセプト」より引用。
広告が『ブランド』を築き上げると考えるのは誤りである。『ブランド』は、広告、パブリック・リレーションズ、スポンサーシップ、イベント、社会貢献活動、会員制組織、スポークスパーソンなど、さまざまなツールの組み合わせによって総合的に構築されていくものである。
この本の中で言われているのは、ブランドを広告するのではなく、「ブランドを体現せよ」ということです。
コトラーさんいわく、
つまるところブランドとは、顧客にポジティブな経験を提供する社員の手で築かれるものなのだ。ブランド経験は、ブランドが約束するとおりのものであったか。約束に見合ったブランド経験を提供しなければならないのは、この問いかけが重要な意味を持つからである。
どんなに強く崇高な想いがあったとしても、どんなにカッコいいロゴが作れたとしても、どんなにうまく広告を使っても、「ブランド経験は、ブランドが約束するとおりのものであったか?」という信頼を確かめる問いに「YES」と答えてもらうためには、ブランド経験を提供する社員がブランドに対する想いを持ち、行動することが必須なのだということです。
ブランドを確立するためには、会社であればまずは社内にブランドを広める必要があり、そのためにはブランドを確立したい人達とブランドの大切さを知ってほしい人達の信頼関係が必要不可欠なのです。
ブランドを再生させるためには?
あなたの会社がある程度の歴史を持っていて、ブランドを守ること、継続していくことを大切にしてこなかった場合、今、顧客のブランド経験はブランドが約束するものではない可能性が高いです。
それではこれまでの顧客との約束を裏切ってしまっている場合、どのようにブランディングを考えれば良いのでしょうか?
これまで築き上げてきたブランドイメージをぶっ壊して、新しいイメージを確立することのリスクを取るか?それとも、これまで約束していたブランド経験をもう一度取り戻す作業を根気強く行うか?
どちらにしろ、まずは歴史を振り返り、今立っている場所と周囲の状況を確認するところから始まると思います。昔の自社商品がどんなブランド経験を提供していて、顧客はどう思っていたのか?そして自社の商品に対して、今でも顧客は昔と変わらぬブランド経験を求めているのか?
これらを知ることが、ブランド再生の足がかりになります。
そして、歴史を振り返り、ブランドを再生するに当たって重要なことは、「Why」を明確にすることです。つまり「なぜ私の会社が存在するのか?」をそこで働く全員が知ることです。これはまさに根っこの部分です。私たちが会社で働く意味、会社が存在する意味を知ることが、ブランドの重要性を知ることにつながると私は思います。
まとめ
私なりに考えたブランド再生に必要なステップはこうです。
1.会社とそこで働く人達の信頼関係を築き上げる
2.歴史を振り返り、今まで約束していたブランド経験はなんだったかを知る
3.今、その約束はどうなってしまっているかを知る
4.2.と3.を踏まえて、なぜ私たちの会社が存在するのか?「Why」を知る
5.再生したブランドイメージを会社全体で共有し、顧客との約束を常に守る
ん〜何かちょっと足りないような気もしますが、、、
今の私にはここまでです。これからやりながら付け足していこうと思います。
あなたの会社のブランドイメージはどうですか?顧客との約束を守っていますか?
これをみんなで考えることは、結構重要な気がします。
それでは!
参考記事;
ブランド Wikipedia
ビジネススクールが決して教えてくれない6つのブランディング手法|SEO Japan
信頼を思い通りにできない人は何一つうまく行かない|誠 Biz.ID