コロナウィルスなどの感染症や病気にかからない強い身体をつくるために、今日から実践できる強力な習慣は「呼吸」です。
この記事では、ヨギ・ラマチャラカさん著『究極の呼吸法』を参考にしながら、なぜ呼吸が大切なのか、良い呼吸を習慣にするためにまず何から始めればいいのかを解説していきます。
なぜ呼吸が大切なのか
私たちは、何も食べなくても何日かは生きることができます。
水を飲まなくても、すぐには死にません。
けれど、息をしないと数分間しか生きることができません。
息をすることは生きることであり、身体のすべての機能は、呼吸の上に成り立っています。
そして実は、人がいつまでも元気でいられるかどうか、病気になりやすいかどうかも、呼吸の習慣によるところが大きいのです。
呼吸に無頓着な人は生命力が弱まり、病気にかかりやすくなり、寿命が縮んでしまう。
- 風邪を引きやすいので何とかしたい
- いつまでも健康でいたい
- 長生きしたい
- 子どもや家族をウィルスから守りたい
そう思うなら、普段無意識にしている「呼吸」に意識を向けることからはじめましょう。
そんな疑問に答えるために、ここからは「呼吸器の役割」「呼吸の重要性」について学んでいきましょう。
呼吸のしくみ
呼吸とは、「空気中に含まれている重要な物質を肺に送り込む」一連の流れのことです。
呼吸器の構造
呼吸器は、「肺」と肺への空気の通り道である「気管」によって構成されています。
吸い込んだ空気は気管を通り、気管は2手に分かれて左右の肺に向かっていきます。
その気管も途中から分かれて気管支となり、気管支は何度も何度も枝分かれを繰り返して細くなり、肺に到達。
分岐は何百万回も繰り返され、そのすべての先端には「肺胞」と呼ばれる空気を入れる袋状の部分がついています。
木を想像するとわかりやすいかもしれません。
木の幹が「気管」、幹が大きく2手に分かれたところが「主気管支」、その先で太い枝から生えてくる枝が「細気管支」で、枝の先端に生えている葉っぱが「肺胞」とイメージしてみてください。
大人の肺の中にはおよそ3~6億個の肺胞があって、それぞれの肺胞は毛細血管で覆われています。
驚くことに肺胞をすべて広げたときの面積は約100平方メートルになり、だいたいテニスコート半分の広さになると言われています。
呼吸が起こるメカニズム
肺と内臓を隔てている「横隔膜」が動くことで、空気が肺に吸い込まれます。
横隔膜は広くて薄い膜状の筋肉で、これが広がると肺の容量が大きくなって減圧状態がつくり出され、外から空気が流れ込んできます。
横隔膜がゆるむことで肺が縮み、空気が外に吐き出される、というメカニズムです。
横隔膜はほとんど無意識のうちに動いていますが、意識的に動かすこともできます。
つまり、呼吸はたいてい無意識のうちに起こっているけれど、「呼吸をしよう」と思ってすることもできるということ。
呼吸は、意識的に横隔膜を動かすことによって起こすことができます。
人間の身体と呼吸の関係
肺に送り込まれた空気はどうなるのか?何に使われているのか?
わたしたちの体内で起こっていることをイメージできるようになりましょう。
血液循環と呼吸
肺胞に集められた空気に含まれる酸素は、血液の浄化に使われます。
ここで血液循環について簡単に説明しておきます。
血液は、エネルギーとパワーを全身に運ぶ役割を担っています。
血液は心臓から動脈を通じて送りだされ、各部の毛細血管に入り、身体の隅々へと酸素や栄養などのエネルギーを届けます。
さらに、血液は各部に必要なエネルギーを届けつつ、各部から出される老廃物を回収して、今度は静脈という別ルートの毛細血管を通り、また心臓に戻ります。
戻ってきた血液をまた循環させるわけですが、これをこのまま動脈にのせて全身に送ると、どうなるでしょうか?
せっかく全身から回収した老廃物を、体中にまき散らすことになってしまう。
そうならないように、呼吸があり、肺胞があるんです。
老廃物を満載して心臓手前まで到達した血液は、心臓に入る直前で肺胞の周りの毛細血管を通ります。
そこで、呼吸によって肺胞に届けられた酸素と、老廃物満載の血液が触れ合います。このとき血液に酸素が取り込まれ、老廃物との間で燃焼反応が起こり、二酸化炭素が放出されるのです。
このプロセスによって浄化された血液は心臓に戻り、また全身に送られる、という流れです。
動脈血が心臓を出発するときは豊かな明るい赤で栄養満点ですが、静脈血は濁った青色で老廃物満載で戻ってきます。それを浄化して、再び豊かな赤い血に戻して、また心臓から全身に送る。
血液循環のために、呼吸は欠かせない重要な機能なのです。
消化吸収と呼吸
十分な量の酸素を肺に取り込まれなければ、汚れた静脈血を浄化することができず、身体に毒が回り、その先に待ち構えているのは「死」です。
つまり、汚れた空気を肺に取り込むことも大なり小なり同じように身体に害を与えるということ。
間違った呼吸をしている人は、たいてい顔色が悪く、正しい呼吸をしている人は、血の巡りが良くなり顔の色つやがよくなります。
十分な酸素を取り入れることに成功すれば、血中の老廃物を浄化するだけでなく、血液と結びついて全身の細胞や組織、筋肉、臓器に送られ、各部を元気にしたり丈夫にしたり、細胞や組織を新しく生まれ変わらせてくれます。
そしてさらに、血液と結びついて運ばれた酸素は、食べ物の消化にも使われるのです。
食べ物の栄養素が血中酸素に触れ、燃焼反応を起こすことで消化が起こります。
肺が悪い人は消化も悪くなるということ。
これはかなり重大なことで、消化吸収がうまくできないということは十分な栄養を取りこめないということになり、肺も同じ栄養源で動いているため肺が弱り、そうなると酸素の供給量がさらに低下して、、、と、身体がどんどん弱っていくという悪循環モードに入ってしまいます。
より良い消化吸収のためにも、正しい呼吸は重要です。
内臓と呼吸
間違った呼吸によって酸素の供給量が低下し、それによって消化吸収がうまくできないということは胃や腸などの内臓系も元気がなくなるということです。
また、食べ物を消化するときの燃焼反応や、血中の老廃物を浄化するときの燃焼反応によって体温は一定に保たれます。
正しい呼吸をしている人は、内臓が元気で温かく、風邪やウィルスに強くなります。
温かい血が身体中を巡っているため、気温の変化にも強くなります。
さらに、正しい呼吸によって筋肉が動き、内臓がマッサージされ、動きが良くなり温まります。
内臓を温め元気にするためにも、正しい呼吸は重要なのです。
神経系と呼吸
人間の神経系には大きく分けて「脳脊髄神経系」と「交感神経系」の二つがあります。
脳脊髄神経系には、頭の中にある脳の神経系、脊髄の神経系とそこから分岐している神経が含まれます。意思や感覚などの動物的な生命維持機能、具体的には見る・聞く・味わう・匂いを嗅ぐ・感じるの五感を司っており、自我はこれを使って思考して、意識を現実化しています。
交感神経系には主に、胸・腹・骨盤に存在する神経系とそこから内臓に分布する神経が含まれます。成長や栄養補給、循環・呼吸・消化といった無意識のプロセスのほとんどを司っています。
脳から指令が出て、神経によって全身にエネルギーが伝えられて、わたしたちの各部が適切に動いているワケですが、そのエネルギーのことを西洋科学では「神経エネルギー」といい、東洋では「プラーナ」というそうです。
神経エネルギーなしには心臓が鼓動を打つことも、血が循環することも、肺が呼吸することも、臓器が動くこともできません。
それどころか、脳も思考することができず、全身の機能が停止してしまいます。
生命を司っている、西洋でいうところの「神経エネルギー」、東洋でいうところの「プラーナ」は、対応する化学的物質を見つけることができていないようです。
ですが、それはある特定の場所の空気中にふんだんに含まれているということを西洋でも東洋でも認めています。
生命を司る神経エネルギーを十分に体内に取り込むためにも、正しい呼吸が重要であるということです。
はじめに極めるべき呼吸
呼吸の重要性がわかったところで、具体的に何からはじめたらいいのかをお伝えしていきます。
呼吸初心者が最初にするべきこと。
結論は「鼻呼吸を極める」です。
鼻か?口か?ほんの僅かな差が生死をわける
空気を肺に入れる通り道として正しいのは、口ではなく「鼻」です。
人間は口呼吸も鼻呼吸もできるような構造になっているけど、どちらの習慣を選ぶかによって、生涯健康に過ごせるか、病気にかかり衰弱するかが決まります。
冗談でもなんでもなく、口呼吸か、鼻呼吸か、どちらを選ぶかは命にかかわるくらい重要なことなのです。
口呼吸の危険性
多くの伝染病は、口呼吸の習慣によってうつります。
兵士や水兵を対象に実施された厳正な科学的実験では、口を開けたまま寝る人は鼻呼吸をする人より伝染病にかかりやすかったという結果がでたそうです。
さらに、海上にある軍艦で天然痘が流行したことがあったとき、死に至った船員や水兵はひとり残らず口呼吸で、鼻呼吸の人はひとりもいなかったのだそう。
なぜ口呼吸が人間を弱らせるのかというと、空気中のホコリや異物をフィルターするものはまったくないから。
口から肺まで、ゴミや汚染物質やウィルスがフリーパス状態。呼吸器系すべてが汚れた空気にさらされます。
さらに、口呼吸では冷たい空気がそのまま臓器に入ることになります。
これによって、呼吸器で炎症が起きる原因となるほか、繊細な喉の器官を痛めてしまうのです。
自然で合理的な鼻呼吸
口呼吸が人間の体の構造に逆らう行為であるのに対し、鼻呼吸は自然の摂理に逆らわない合理的な呼吸です。
呼吸器が備えている防御システムは、鼻孔の中にある集塵フィルター機能ただひとつだけ。
鼻孔は、2本の狭く曲がりくねった通り道で、たくさんの固い鼻毛がフィルターとなり空気中の異物をふるいにかけます。フィルターに引っかかった異物は息を吐くときに排出されるシステムです。
鼻孔のもう一つの重要な働きは、吸った空気を温める機能。
鼻孔の空気の通り道は、温かい粘膜でおおわれており、その粘膜に触れた空気は温められてから喉の器官を通って肺に到達するので、体内を痛めません。
鼻呼吸では、肺に入る時点で、外の空気とは別物になっているのです。
現代を生きる未開人は鼻呼吸
ちなみに、人間以外の動物は口呼吸をしません。口を開けたまま寝るのも口で呼吸するのも人間だけで、人間の中でも未開人は鼻呼吸をしているそうです。
未開人の母親は直感的に鼻呼吸の重要性を理解しており、赤ちゃんが眠っているときは頭を少し前に傾けて、口が自然に閉じて鼻呼吸せざるを得ない姿勢にし、鼻で呼吸するように赤ちゃんをしつけます。
本来は「鼻から息を吸うのが正しい呼吸法なんです」とわざわざ教えるまでもなく、原始の時代はそれが自然でした。しかし、文明が発達することによってライフスタイルが不自然になったこと、生きる力を奪うような贅沢で暖かすぎる生活により、口呼吸るものではないかと考えられています。
鼻呼吸を極めるべき、というか鼻呼吸に戻すべき理由が、わかってきましたね。
鼻呼吸を極めるための鼻詰まり解消法
起きて活動しているときは、鼻呼吸することに意識を向けて訓練すれば、次第に無意識でも鼻呼吸ができるようになるでしょう。
とはいえ、
いやいや、鼻がつまっていて鼻呼吸なんてできないのよ…
って人もいますよね。
これは、口呼吸が当たり前になっている人に多く見られることで、鼻の気道があまり使われなくなるために、鼻が通った状態が保ちづらくなってしまうんです。
普段から鼻呼吸している人は、鼻が詰まることはあまりないのですが、使われない鼻孔はゴミや汚れだらけになってしまうのです。
どうしたらいいの…?
『究極の呼吸法』に書かれていた3つの方法をご紹介します。
ひとつめは、
東洋で好んで行われる方法のひとつは、鼻から少量の水を吸い込み、喉を通して口から吐き出すことです。
最初は鼻が痛いかもしれませんが、慣れるとそんなに苦も無くできて、鼻はスッキリしますよ。
ふたつめは、
窓を開けて、指で片側の鼻をふさぎ、開いている方の鼻から息を吸い、楽に呼吸します。もう片方の鼻で同じように行います。鼻を交互に入れ替えながら、何度か繰り返します。この呼吸法を行えば、ほとんどの場合、鼻の詰まりは解消します。
みっつめは、
鼻詰まりが鼻風邪からきている場合は、少量のワセリンや樟脳軟膏のような塗り薬を塗って(ふたつめの呼吸法を)行うとよいでしょう。また、時には少量のウィッチヘーゼルエキスを吸い込むと、際立った効果を感じられるでしょう。
鼻呼吸は「健康になるために重要だから」という理由だけでなく、本書に書かれている究極の呼吸法エクササイズを実践するための基本原理です。
鼻呼吸への切り替えは、鼻詰まりを根気強く解消するだけの価値が十分すぎるほどあります。
睡眠時の鼻呼吸をサポートするグッズが重要
起きているときは、鼻詰まりを解消し、意識し続けることで、なんとか習慣にすることが可能です。
でも、眠っているときばかりは意識することができません。
調べてみると、睡眠時の鼻呼吸をサポートするグッズが見つかりましたのでご紹介します。
口呼吸防止テープ①
正統派の口閉じテープ。アマゾン「いびき軽減グッズ」部門でベストセラー1位の商品です。
口閉じて寝ることでいびきも軽減されるんですね!
口呼吸防止テープ②
ラベンダーの香り付き口閉じテープ。これは使ってみたい。
さっそくポチっとしました^ ^
鼻腔拡張テープ
鼻の穴を広げて鼻呼吸しやすくするグッズですね。これ、口閉じテープと併用したらかなり良さそう。
こちらもポチりましょう。
まとめ
はい、というわけで今回は、ヨギ・ラマチャラカさん著『究極の呼吸法』を参考に、コロナウィルスなどの感染症や病気にかからないための「呼吸」の習慣について解説してきました。
呼吸のしくみ・身体と呼吸の関係性・口呼吸と鼻呼吸に関する事実を知れば、呼吸を意識せずにはいられません。
まずは究極の呼吸法を極めるためのはじまりの呼吸である「鼻呼吸」をマスターしましょう。
本書には鼻呼吸を極めた先にある「心と身体を一瞬でととのえる呼吸法」について、理論と具体的な方法が詳しく書かれています。
呼吸の世界をもっと深掘りしたい!
という方は、ぜひ手に取って読んでみてください。
動画版はこちらです^ ^
それでは、またー!
え?でもなんで呼吸が病気や寿命に関係があるの?