【リーダーシップの本質】U理論 by オットー・シャーマー

U理論

こんにちは。シンプリィライフのおおのです。

今回紹介する本は、『U理論-過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術-』です。

文字を読むのが苦手な方はこちらのアニメーション動画をどうぞ。

本書のテーマは「リーダーシップと対話の本質」についてです。

この本の結論

さっそく結論から言いますと、

結論
執着を手放せば本質的なリーダーシップを発揮することができる

イノベーションを起こす真のリーダーと呼ばれる人には、

  1. 過去や偏見を捨てることができる
  2. 行動の元となる内面の質が高い
  3. 恐れることなく変化を起こせる

というようなイメージを抱きますが、

「そういう人は修羅場をくぐる体験をしたから、リーダーシップを発揮できるようになったんだ」

「自分は修羅場をくぐったことなんてないしムリだ」

と思ってしまいがちです。

たしかに修羅場をくぐってきたリーダーたちのあり方は、オーラを感じる、一皮むけた、目の色が変わった、腹が据わってきたなどと表現される通りで、その人の内側になんともいえぬ凄みとかパワーを感じることがあるでしょう。

いままではリーダーの資質については、測定不可能な言葉で表現されることが多く目に見えないものでした。

そんななか、U理論は、これまで修羅場をくぐる体験をしたからというくらいにしか語れなかった、リーダーシップを発揮するまでの目に見えなかったプロセスをあきらかにしてくれた本なのです。

本書では本質的なリーダーシップを発揮するためにもっとも重要なのは「プレゼンシング」という状態に移行することだと言っています。

執着を手放し本質的なリーダーシップを発揮する方法

そこでこの動画では、プレゼンシングに移行するために知っておくべき3つのポイント、

3つのポイント

ポイント1.Uのプロセス

ポイント2.ソーシャル・フィールド

ポイント3.執着を手放す

について解説していきます。

ポイント1.Uのプロセス

アルファベットのUの字のカーブで表現されるU理論には大きく分けると3つのプロセスがあります。

その3つは、左上から谷へと降りていく「センシング」、Uの字の底にあたる「プレゼンシング」、右上に向かって登っていく「クリエイティング」で構成されています。

言い換えると、センシングでは「ただひたすら観察する」ことで自分の内面に深く潜り、プレゼンシングでは「一歩下がって内省する」ことで執着を手放して最良の未来から学び、クリエイティングでは「素早く即興的に行動に移す」ことで試行錯誤しながら何かしらの形を与え、実践につなげる、という流れのことです。

わたしたちは無意識のうちに過去の経験によってつくられた習慣にしたがって、モノゴトを見て、思考して、判断して、行動しています。まずはこれを自覚し、過去や偏見にとらわれずに考えて行動するためのパートとして、センシングでは「ただひたすら観察する」ことが推奨されています。

中でも過去の延長線上にはない新しい未来を迎え入れるプレゼンシングのパートがU理論の心臓部。

プレゼンシングという言葉は、「いまこの瞬間のあり方」を意味するPresenceと「未来の可能性を感じ取る」という意味のSensingを合わせた造語です。

著者のオットー博士がプレゼンシングという言葉で表現しようとしているのはつまりこういうことです。

わたしたちの中には2つの自己が同時に存在していて、ひとつは利己的でエゴイスティックな「小さな自己」、もうひとつは生きとし生けるものを慈しみ、新しい何かを生み出そうとしたり、他の誰かや何かに貢献しようとしたりする「大きな自己」です。

これらの2つの自己が交流しはじめると、いまこの瞬間のあり方が小さな自己が大きな自己へと変化し、未来の可能性を確かに感じることができるということです。

では続いて、U理論の心臓部であるプレゼンシングへと深く潜っていくプロセスについて解説していきます。

ポイント2.ソーシャル・フィールド

わたしたちは起きている間のあらゆる時間帯において、何かしらのソーシャルフィールドを体験しているといいます。

オットー博士はソーシャル・フィールドを4つのレベルに分解し、レベルアップするためのポイントを明確にすることで、プレゼンシングへの移行を再現できるようにしてくれました。

このソーシャル・フィールドと日常生活の質は密接に関係していて、たとえば夫婦関係が悪化していたり、職場で上司や同僚との関係がうまくいっていないときは、まず間違いなくソーシャル・フィールドのレベルが低い状態になっていると言えます。

ソーシャル・フィールドレベル1「ダウンローディング」

経験によってつくられた過去の枠組みや偏見が繰り返される状態。コミュニケーションにおいては相手の話を決めつけたり、頭の中で反論を抱いたりしながら聞いたり、あたりさわりのない言動が横行する。

ソーシャル・フィールドレベル2「シーイング」

過去の枠組みや偏見を覆す情報や事実に注意が向いている状態。コミュニケーションにおいては、相手の意見を理解はしつつも、共感はない。自分と相手の意見の相違点に着目しながら議論が繰り広げられる。

ソーシャル・フィールドレベル3「センシング」

相手の気持ちや状況が自分のことのように感じ取れ、共感している状態。相手の意見の背景にある想いにも耳を傾けつつ、自分の内側で起きている心の動きを感じ、自己開示する姿勢が生まれる。

ソーシャル・フィールドレベル4「プレゼンシング」

過去や偏見への執着や変化への恐れを手放し、出現した新しい「何か」を迎え入れ、身を委ねている状態。深い確信に満ちたアイデアや意志が生まれる。

まずはこの表を使って、普段の何気ない会話や、会議における自分の状態を把握してみましょう。

自分自身のソーシャル・フィールドのレベルが把握できたら、レベル4のプレゼンシングまでひとつずつあげていきます。そのテクニックについて、ポイント3でひとつひとつ解説していきます。

ポイント3.執着を手放す

それではここでは、ソーシャルフィールドのレベルをあげていく具体的なテクニックについて解説していきます。

ダウンローディングからシーイングへ

ダウンローディングからシーイングに移行するために有効なテクニックは「保留」です。

ダウンローディングでは、「自分の頭の中にある過去の経験や偏見の世界にいる」状態で、分かりやすく言うと人と会話をしているのに常に自分の頭の中で発生している思考に気をとられている状態です。

この状態だと、過去の経験や偏見から生まれる世界を再現することになるので、新しいアイデアや創造力は生まれるはずもありません。

ダウンローディングからシーイングに移行するためにやるべきことは、次々と浮かんでくる思考を一時的に「保留」するというテクニックです。

言い換えると「自分の頭の中に次から次へと浮かぶ思考を、何の結論や判断も下さずに思考を吊るして眺めてみる」こと。たとえば目を閉じて呼吸に意識を集中しようとしてみてください。おそらく、次から次へと様々な考えが思い浮かんでなかなか呼吸に集中できないハズです。

まずは目を閉じて呼吸に集中することからはじめてみましょう。浮かんでくるその他の思考に必ず気づきます。そしたらそれを吊るして眺めてみる、というイメージです。

慣れてきたら人との会話の中で実践してみます。

相手の言葉に対して何の結論も判断も下さずに、自分の頭の中に浮かんだ思考をただただ宙づりにして眺める。

それができるようになると、レベル2のシーイングに入りやすくなります。

シーイングからセンシングへ

続いて「シーイング」から「センシング」に移行するためのテクニック。

センシングでは、過去の経験や偏見が崩れ、外側からいまの自分や状況が見えている状態です。オットー博士は「自分の靴を脱いで、相手の靴を履いている状態」とも表現しています。

言い換えると、相手そのものになって考えられる状態のことです。

難しそうですが、多くの人がセンシングを経験したことがあるハズです。たとえば、「1人暮らしをしてみてはじめて、家事をする母親の気持ちが分かった」とか「子どもを持ってはじめて、父親の気持ちがわかった」とか。

自分が同じような体験をしてはじめて、心で理解するという経験を1度はしたことがあるのではないでしょうか。

つまり、センシングに移行するためには、実感したい対象を疑似体験することが必要なのです。そのための具体的なテクニックとして挙げられるのは「エンプティー・チェア」という手法です。

たとえばいま、思い出すだけで腹が立ってくる部下がいるとします。そいつは仕事ができないし物事を深く考えず楽観的でヘラヘラしているとします。そしてあなたはその部下に、楽観的過ぎる性格を直し、自分の仕事がどれくらいの価値があるのか、どんなところを改善した方がいいのかなど、本質をみて行動して欲しいと思っているとします。

そうしたらまず、イスを2つ用意して向かい合わせに配置します。そして、自分が座った向かい側のイスに腹が立つ部下が座っていると想像しましょう。想像できたら、部下が座っているイスに座りなおして、その人になったつもりになるのです。

向かい側に座っている自分は「本質を見て行動して欲しい」と言っています。部下のあなたはどんな風に思うでしょうか?

というのがゲシュタルト心理学のエンプティー・チェアです。

座る場所を交代して相手を理解しようとするテクニックのひとつで、よいコミュニケーションを築くうえで基本的なスキルなのだそうです。

簡単なことではありませんが、何度も繰り返すことで実感したい対象を疑似体験することができるようになり、センシングの状態に入りやすくなります。

自分の頭の中に浮かんでくる習慣的な思考を保留し、エンプティーチェアで相手そのものになって考えられるようになったら、いよいよセンシングからプレゼンシングへの移行です。

センシングからプレゼンシングへ

U理論の心臓部「プレゼンシング」に入るための「執着を手放す」について見ていきましょう。

とは言うものの、執着を手放すって何をどうすればいいの?って感じですよね。

順番に解説していきます。

本書では、ポイント1でお伝えした、利己的でエゴイスティックな小さな自己に対する執着を手放すことが求められると言っています。

小さな自己と深い関わりがあるのが自己同一視という現象です。

例えば愛車が傷ついたら慌てふためきショックを受ける人もいるし、我が子のことをまるで自分のことのように心配したりする人もいます。そして、これと同じように、自分の意見や観念についても自分のことのように考えてしまうことがあります。

たとえば自分の主張や意見が否定されたときのことを思い出してみてください。自分そのものを否定された気持ちになった経験はありませんか?

このように、モノなのに、自分じゃないのに、ただの意見なのに、自分のこととして捉えてしまうことを「自己同一視」というのですが、自己同一視した対象が自分の中の小さな自己と結びついたとき、執着が生まれます。

この執着は、自己同一視が深ければ深いほど強力で、手放そうとするときに大きな恐れをいだくことがあります。そして「そんなことしたらたくさんの人に嫌われるかもしれない」とか「こんなこと言ったらもう会社にいられないかもしれない」など、ネガティブな声が頭の中を駆け巡り、小さな自己を手放すことをやめさせようとするのです。

ではどうやって自己同一視によって生まれる執着を手放せばいいのか?それは「恐れの声を乗り越えて自己開示をすること」です。

ソーシャル・フィールドのレベルを高めていく過程で自分が感じたこと、相手の立場になって考えてみたことを、わだかまりのある人や関わりの深い人に開示してみること。

恐れの声と向かいあい、乗り越えることこそがリーダーシップの本質だと、オットー博士は言います。

まとめ:あなたらしいリーダーシップを

はい、というわけで今回は『U理論』について紹介しました。

オットー博士は、「重要なのはリーダーが何をどうするかだけではなく、彼らの「内面の状況」「内面世界」「意識の源とその質」なのだ。そのときの行動が何を源泉としているかによってまったく異なる結果を生む可能性がある。」とも言っています。

ただ本書に書かれていることの表面をなぞるのではなく、ソーシャル・フィールドのレベルを確認しながら相手への共感と内省を繰り返し、自分の中にあるエゴや恐れや執着と向き合い、それを乗り越えながら内面を成長させていくことが大切だということです。

leadやleadershipの語源であるインド・ヨーロッパ語のleithは、「出発する」「出発点を越える」または「死ぬ」という意味なのだそうです。

自己開示によって小さな自己への執着を手放すことは、もしかしたら死ぬという感覚に近いのかもしれません。

とても怖いことだと思いますが、逆を言えば、勇気を持って評価や諦めや恐れの声を乗り越え、ソーシャル・フィールドレベルを上げていくことができたなら、あなたらしいリーダーシップを発揮することができるようになる。

ぜひ本書を手に取って読んでみてください

本書は本質的なリーダーシップを発揮するための手順と注意事項と勇気を与えてくれる本でした。

当たり前のことですが、ここではエッセンスしか紹介できません。本書には現場で活用された事例について膨大な量の詳細な情報が書かれているし、実践で使えるテクニックも満載なので、興味のある方はぜひ手に取って読んでみてください。

U理論-過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術-

それではまたー!

ABOUTこの記事をかいた人

1980.1.1 東京生まれ YouTubeで人間関係や仕事の悩みが「シンプル」になる本を3つのポイントに要約して紹介しています。 その他、カレーのキッチンカーでイベント出店、コトバヤで間借りカレー、子ども向けロボット教室、ブログ、やってます^_^