【本】世界史は脳に効く!日本のお父さんはなぜ偉そうにしているのか?を知るカギは中国の歴史と「儒教」にあり。

 
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photo credit: Vincent_AF via photopin cc

 

日本の家庭には昔から「家の中では、お父さんが一番偉い」的な考え方が根付いていたりしませんか?これは一体どこからきた考え方なんでしょうか?

 

私は自慢ではありませんが、自分の子どもと「友達」になりたいと思って今がんばっています。下の名前で呼び捨てにされることもあります。最初は「複雑」な気持ちでしたが、最近はあんまり気にならなくなってきました。

 

みなさんは「親を呼び捨てにするなんてとんでもない!」「親の威厳が!」とか思いますか?まあ、これについてはきっと賛否両論だと思いますが、こういう周りの視線が気になっていたため「複雑」だったのです。「複雑」な理由がわかったので、私は「子どもと友達になる」という道を進んでみようと決めたのです。

 

でもそう決めても、私が子どもの頃から(おそらく)ほとんどの家庭に普通に根付いていた「お父さんは偉い」という無意識に支配されているようで、偉そうに怒鳴ったり、上から目線で説教じみたことをしてしまいます。その度反省。

 

お父さんはなぜ偉そうなのか?その無意識の支配はどこから生まれたものなのか?
今まで疑問に思ったことはあったけれど考えることはしませんでした。でもライフネット生命の出口会長が書いたこの本を読んで、なんだかわかった気がしたのです。本から学んだ中国の歴史をもとに、まとめてみます。

 

 

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すべては「中華思想」から始まっている

その昔、紀元前11世紀頃の中国には周という国があったそうです。周は商周革命と呼ばれる大きな変革のときに、商から青銅器を作る技術とそこに刻まれる文字の読み書きができる金文職人、書記といったインテリ集団を引き継いだそうです。
周は周囲の王様との威信財交易に、当時は絶対に誰も作ることができなかった文字入り青銅器を使った。もらった相手は驚愕します。重いし、きれいだし、変な字が書いてあるから。そうすると、周の王様はすごいな、となった。

 

で、周が紀元前770年頃にいったん滅ぶと、金文職人とか書記たちは失業し、職を求めて諸国に拡散したそうです。諸国の王様は書記を得たことで青銅器に書かれた内容を知った。そこには、昔の周の立派な歴史が書かれていて、諸国の王様は周の王族を勝手に尊敬したそうです。
これが記録に残ることの魔力です。説得力が違う。

 

周は滅びて東に逃げ、小さい国になったにもかかわらず、周りが勝手に周の王室は特別だと崇めるようになったそうです。で、その後、これと同じ現象が巡り巡って東アジアで起こりはじめたそうです。中国から漢字が朝鮮やベトナム、日本に広まり、漢字で書かれた中国の歴史を読んで、祖先の偉大さに差を感じ、勝手に尊敬した。

 

これが「中華思想」というものの起源である、と出口さんは書いています。

 

中華思想って、簡単に言うと「中国が世界の中心であり、オレたちは誰よりもエラい」みたいな考え方だそうですが、周りの人達が勝手に「すげー!」と言いはじめたということで、もとを辿れば中国が自分から「オレたちはスゴイんだ」と言いはじめたわけではない、というのは知っておいた方がよさそうですね。

 

 

その歴史の過程で生まれた諸子百家「儒家」とは?

商の時代に生まれた金文職人や書記を中心としたインテリ集団の地位は、だんだんと大衆化され、戦国時代に文書行政が始まると中央から各地を統制したり、中央の指令を受けて地方を動かす「官僚」として活躍するようになったようです。

 

でも中央の官僚は王様の近くで国全体を動かしてやりがいあるけど、地方は指令を受け取って伝えたり、手続きみたいな仕事ばっかりで面白くない。そういう人達が辞職してフリーの知識人になっていった。この人達が諸子百家の大元。

 

当時の中国を動かしていたのは官僚と法家だったそう。法家もおそらくフリーの知識人から生まれた人達だと思いますが、要は法律を作る人達。法律を決めちゃって決まり事に沿って治めた方が楽ですよ、という人達。それで法律が生まれた。

 

だけどそれだけでは格好がよくない。理念や理想がない。国を治めるには夢とか大義が必要だ!となった。

 

何か庶民の心に訴えやすくて、夢のある思想が欲しい。それが政治の実務(本音)とは別に必要だと政治家は考えます。本音ではなく次は建前が欲しい。その建前になったのが「儒家」であったと思います。

 

ここで儒家が出てきました。孔子の教えで、わかりやすく、しかも支配者にとっては都合のいい教えだったそうです。そういう理由で儒家の思想が、少しずつ中国の建前になっていったらしい。

 

儒家は先祖を大切にしますから、立派なお葬式を出すことがとても大切だという考えになる。しかし、立派な葬式を出すためにはお金が必要になる、ということで、これは要するに高度成長を謳歌する考え方です。国が豊かになれば立派な葬式を出して祖先を敬うこともできるのだ、ということです。
まじめに生き、家庭を治め、社会を治め、王様にちゃんと従い、長幼の序を大切にし、反抗をせず、高度成長を謳歌し、お葬式も立派に出し、税金もたくさん払えるようになりなさい。皆さん豊かになりますよ。
まさに儒家の思想は、BC500年代の高度成長期の時代の追い風を受けていました。

 

こうして儒家が生まれ、巡り合わせもあって発達してきたのだということがわかりました。

 

 

日本のお父さんが偉そうにしているワケ

儒家の思想は、上でも引用した通り、
 
祖先を敬う→立派な葬式を出す→お金が必要→お金を稼げる人が偉い
 
というロジックで、しかも
 
長幼の序を大切にする
反抗をしない

 
という教えです。中華思想の流れで、日本には儒家の思想が根付いていることに加え、
 
高度成長期が追い風になる
 
のですから、全くもって、昭和って感じじゃないですか?
つまり、「お父さんが一番偉い」という話になるのではないかと思うワケです。

 

私の知っている今の日本にも、この思想が根強く残っていると感じます。すごいですよね。2000年以上も前の思想が、今でも残っているっていうのは。

 

 

歴史を知って始めてわかる意識の支配

ここで思うのは、なんでそうなるの?というロジックは置き去りで「お父さんが一番偉い」だけ残っている、場合があるということ。一度「常識」ができてしまうと、その起源とかロジックには目を向けないし疑問にも思わなくなり、形だけが存在し続けることになるようです。

 

大抵の家庭では、お父さんが一番稼いできますが、今の時代、奥さんの方が稼いでいるという場合もある。だけどおそらく「お父さんが一番偉い」というのは残っている場合が多いのではないかと思います。これって歴史から考えてみてもおかしな話ですよね。

 

で、今回一番勉強になったこと。
それは、そもそも昔の中国の政治をうまく回すために、建前のために取り入れられた思想が、今でも多くの人の意識に染み付いて、生き方まで支配しているということ。これは恐ろしいとも言えるし、勝手に支配されている自分たちはアホみたいとも言えます。

 

 

まとめ

年功序列とか、目上の人を大切にするとか、親を敬え、みたいな考え方って何で?と考える余白もなくそのように刷り込まれ、知らないうちに常識になっていたんだな、とわかりました。

 

家族とはチームであり、役割分担をしながら成長していく仲間だと捉えた場合、稼いでくるから偉いとか、稼いでいないから偉くない、なんてロジックは消えてなくなるのです。私はそういう考え方で、家族と向き合っていきたい。

 

育ってきた環境によって生き方を支配され、偏見で世界を眺めることで自分の可能性を狭めているとしたら、それは本当にもったいないことです。こうやって一つひとつ自分のことを知りながら、「どう生きるか?」を決めていくことは大事なことだな、と出口さんの本を読んで思いました。

 

 
あなたの人生の文字盤が見つかることを願っています。
それでは!
 

ABOUTこの記事をかいた人

東京都北区出身。 これまでの経験と読書遍歴を活かして、現在は動画制作・コミュニティー運営・速読読書会開催・YouTubeチャンネル運営・オンライン講座を通じて、人が自らの才能を発揮し自由に生きるためのサポートをしています。