先日、伊勢神宮に行った時の話。
外宮の北御門を出たところに、「御木曳」なるものについて説明している看板があった。
式年遷宮の時に、木曽から切り出してきた「ご神木」を「御木曳車(おきひきぐるま)」に乗せて、外宮まで運ぶのだそうだ。
「ふーん、そんな行事があるのかー…」
と、諏訪大社や上田の生島足島神社の御柱を思い出しつつ看板を眺めていた。
一通り読み終わり、「よし!月読宮に行ってみよう!」と気持ちを切り替えて前を向いた時、電柱の看板が目に飛び込んできた。
「寿司 にしむら」
去年の夏くらいからかなりお世話になっている人の名前だったからだと思う。
かなり気になった。今回の旅は、一度気になると止まらなくなる旅だった笑。
「夕飯を食べに行ってみようかな…」
と思い、グーグルマップで調べてみると歩いていくには結構遠い。
それにネットでお店を調べてみても、どんな料理がいくらで食べれるのかもわからなかった。
一旦忘れて月読宮へ
お伊勢さん周りは、どこ行ってもなんだか神々しいわ…と思いながらお参り終了。
さて、どうするか…と悩みながら伊勢市駅へ向かった。
疲れたのでファミリーマートでアイスを買って食べてみたりした。
アイスでエネルギーが充填できたので笑、悩んだ末に「まあとにかく行ってみよう!」と思い立つ。
寿司のにしむらへ
のれんは出ていて、お店の中には誰かがいる。
「バカ高かったらどうしよう…」とかちょっとビビりながらも、これも何かの縁だと思い入店を決めた。
引き扉に手をかけて、右へスライドさせようと力を入れた。
あ、開かない!なぜだ!
それに気づいた店長さんらしきおじさんがすぐに飛んできて鍵を開けてくれた。
「こんにちはー!」と元気よく挨拶をし、「食べれますか?」と聞くと、
「今日はもうお昼で閉めよか〜と言っとんたんですわ〜」と言われた。
何ということだろう…それなりの覚悟を繰り返してここまで来たのに。
というやりきれない気持ちが…こみ上げてきたわけではない笑。
残念だけどやってないなら、それも縁だよねとか思いつつ、
「外宮の電柱の看板を見て来たんですよね〜」
とか言ってみた。
すると
店長「え!?そうなんですか?」「どうやってここまで?」
ぼく「歩いてきました〜」
店長「え〜結構あったでしょ〜」「どちらから伊勢までいらしたの?」
ぼく「長野県の上田市です」
店長「えー長野県!昔よく乗鞍高原行きましたよ〜」
と世間話がいい感じに始まったので、、、
「もうお寿司じゃなくてもお弁当でもなんでもいいので、食べれませんかね?」と押してみた。
すると「そうですね〜なんでもよければやりましょか〜?」と言ってくれた!
なんとまあ!
言ってみるものである。
「にしむら寿司店」の弁当
店内は雑然としていた。
普段はお弁当の配達がメインで、店内で食べてもらうことはあまりないらしい。
今回、特別に入店させていただいた。
幕の内弁当。
お世辞抜きで、めちゃくちゃうまかった。
即席で作っていただいたのに、このクオリティーの高さはなんなのだろう…と感動した。プロの仕事である。
盛り付けも味も、一つ一つに手間がかかっているのが食べればわかる。
「にしむら寿司店」の伝統
この幕の内は店長が弁当を作り始めてから44年間、まったくと言っていいほど形を「変えずに」作り続けているらしい。完成されているのだ。クオリティーの高さに納得がいく。
店長のお父さんの代から70年以上続いているお店だそうだ。
さすがお伊勢さんに近いだけあって、「続けていく」ことが当たり前のような空気感だった。
この幕の内弁当は、ずっと続いて欲しい、残って欲しいと思った。
しかし、息子さんは今関東の方で仕事をしていて、お店を継ぐ意志はなさそうだという話をしていた。継いでもらうなら血の繋がった息子に、というのが前提だという思いを言葉から感じる。
全国の後継者問題はけっこう深刻なのかもしれない。
御木曳車(おきひきぐるま)
雑談に花を咲かせていると、「時間に余裕はあるの?」と聞かれた。
「全然余裕です!笑」と答えると、「御木曳車(おきひきぐるま)見たいですか?」と言われた。
店長曰く、御木曳車は70ほどある各自治会で保管されていて、おそらくどこも「バラして」保管されているらしい。でも、店長の自治会ではそのままの状態で保管している珍しい自治会なのだという。
そんなの、見たくないわけがない。
「見せてもらえるなら是非是非見せてください!」とお願いした。
想像以上にデカかった!
やはりお伊勢さんはスケールが大きい。
このおきひきぐるまで木曽から持ってきた御神木を外宮まで運び、その運んだ御神木一つ一つがどこの建物のどこに使われるかをわかるように番号などを大工さんがつけて角材に切り出し、式年遷宮で建て替えが行われるのだそうだ。
貴重なモノを見せていただき、感謝感激雨嵐であった。
まとめ
人との出会いは偶然ではない。
感じた通りに動けば、素敵な出会いが待っている。
という「事実」が生まれた。
悩んだけど、動いてよかった。
悩まなくていいのだとわかった。
結果は、感じた瞬間に決まっているのだ。
偶然なようで、偶然ではない気もしてくる。
それではー!