こんにちは!
信州上田の大野です。
2017年1月21日、雪が深々と降りつもっています。
雪が降ると、以前お世話になっていた会社の社長を思い出します。
その社長は、若者の言うことは聞くことはしても、自分の行動や態度は断固として変えない人でした。
社長という「自己定義」の苦しさ
その人は、「社長」という肩書きの自己を確立し、定義することで、その役を演じきることに徹していました。
ぼくからすれば、自分の心の声を無視し、自分を犠牲にしているだけのように見えたのです。
「この人は何をやっているんだ。一番大切なのは素のままの自分で生きることじゃないか。」
と。
そして、その人の苦しみを勝手に理解したつもりになって、「なんとかしないといけない」とか思って、勝手に苦しんでいたことがあったなぁ、、、と、雪を見ると思い出されます。
参考記事:経営者が「孤独な悩み」から解放されるために必要な「たった1つ」のこと。
自己定義することで生まれる葛藤
「社長とはこういうものである」
と自己定義し、本当の自分との間で葛藤していたのだと、今ならわかります。
必ずしも、そうしたくてそうしているわけではない。
でもそう決めたから、そうせざるをえない。
そして、自分で決めた人格を、葛藤しながら演じていく。
責任が重くなればなるほど、大変なプレッシャーや緊張感と戦わねばならなくなっていきます。
ぼくは、葛藤と戦っている人をリスペクトせずに、わかったふりして「助けてあげよう」とか思っちゃってた、サブいやつでした。
ああ恥ずかしい。笑
シニアとは何か?
ぼくが以前働いていた会社の前社長(当時60-65歳)は「シニア」だと思っています。
でもぼく的にはシニアと言われるとおじいちゃん的なイメージを少し持っていました。
あなたは「シニア」という言葉にどんなイメージを持つでしょうか?
ぼくの知人2,3人に聞いてみたところ、「お年寄り」とか「高齢者」とかいう、シニアがネガティブに捉えそうなイメージが強いようでした。
ですが、英語では「上級」のような意味合いを持っています。本来の意味と日本人のイメージにはかなり違いがある気がします。
シニアの人たちは、頑固だとか、言うことを聞かないとか、自分を省みないとか、口うるさいとか、そんなようなことを若者世代に思われたり言われたりしているでしょう。
でも実際は、経験を積み、スキルを高め、勘を養い、若者を導くことができる能力を備えた人たちのことを「シニア」と呼ぶのです。
そして、シニアの方々は自分の行く先のことを考え、今自分にできることは何かを考えた末に、若者に伝えたいことを伝えようと努力しています。
その気持ちが、「頑固で自分を省みない口うるさい邪魔な人」という形で捉えられてしまうことが多いのではないでしょうか。
シニアの方々は、人生の先輩として純粋に伝えたいことがあるけれど、受け手の若者はそれを知っておいたほうが良いと素直に思えない・実感できないために、コミュニケーションは平行線をたどります。
なぜコミュニケーションがうまくいかないのか?
目の前で向き合った2人が、「話せばわかりあえる」なんて思っているからコミュニケーションはうまくいかないんじゃないかと思います。
コミュニケーションは何のためにするのか?というと、「絶対に分かり合えない」とわかっている人たちが、お互いをわかろうとするためのものだと思います。
以前、『シニアの品格』の著者である小屋一雄さんにお会いしたときに、読んでいてどうしてもわからない部分について質問してみました。
人と人、言葉と言葉の間に横たわっている「霧」がある
という部分です。
その「霧」について、どうしてもイメージが湧いてこなくって、モヤモヤしていました。
小屋さんは、
「言葉や知性では言い表せないことがあって、それが態度とか姿勢とか在り方で伝わる。」ということが言いたかった
と教えてくれたんです。
それを聞いてぼくは、
言葉になれば、答えがあれば、わかった気になる。
でもそれでは、本当の意味で、心と体で「わかった」とは言えない。
ただ、頭でわかっただけ。
大事なこと、本質的なことは、支配や依存ではなく、フラットな関係性と自立にある。
孤独を受け入れ、自分の力で歩いていく意思である。
言葉では伝わりきらないことがあり、言葉では誤解されることがある。
常に自分の中にて、寄り添ってくれる存在。
『シニアの品格』とは、言葉ではなく、態度や姿勢のことを言っている。
と思いました。
シニアの能力と若者の未来
人は絶対に分かり合えないという前提を持つからこそ、コミュニケーションというものがはじめて成立する。
それは、人と人、言葉と言葉の間に横たわっている「霧」を知り、その「霧」を超えてみようと努力することであり、
言葉・知性・態度・姿勢、すべてを使って、伝えようとする、分かろうとすることであると、『シニアの品格』を読み、小屋さんとお話しをしてわかりました。
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小屋さんは、めまぐるしく変化する社会の中で、受け継いでいかなければならない普遍的で本質的に大切なことを、シニアと若者に知って欲しくて、この本を書いたのではないか?と、ぼくは勝手に解釈しています。
まとめ
シニアは、若者の言葉を素直に受け入れられないのではありませんし、若者はシニアの言葉をただうっとおしいと思っているのではありません。
ただ、「言えばわかる」と「言葉で分かり合えるはずだ」と勘違いをしているだけ、ただそれだけなのです。
シニアの態度や姿勢や生き方は、ゆっくりだけど確実に若者に伝わっています。
極論、「伝えたいことは言葉や知性ではなく、態度や姿勢でしか伝わらない」ということかもしれません。
原点に立ち返り、シニアと若者をつなげてくれるのがこの『シニアの品格』という本だと思います。
参考記事:【本】シニアの品格:「自分らしく生きていきたい」あなたに読んで欲しい一冊。
自分が大切にしていることや、伝えたい本質的なことを見失わず、守りながら、より多くの人に知ってもらうための活動をしていくことは、とても難しいことかもしれません。
でも、そんな活動をしている小屋さんを、微力ながら、でも心から応援していこうと思っています。
自分も、本質を見失わず、生き生きと生きていきたいから。
それではー!