2016/3/18に埼玉県に行ったんです。
で、「埼玉のソウルフード」という噂のある、美味しいラーメン屋さんがあるとのことで連れて行ってもらうことに。
同じ名前のお店がいくつかあるらしいのですが、
「お店によってお客さんの数とか、店主のこだわりとか、雰囲気とか、味がまったく違うから面白いよ」
と連れて行ってくれた方に言われ、
「ではハシゴしましょう!」
という流れになり、人生初の「ラーメン屋ハシゴ」笑。
でも、そのおかげで衝撃の体験をさせていただきました。
結論は、
作り手の「ブレないあり方」が、相手を感動させる。
ということです。どういうことか?書いてみますね。
1軒目:一見さんを嫌う頑固なマスターのお店
まず1軒目は、初めて行くぼくなんかは普通なら入れないお店。
「一見さんお断り」ではないけれど、初めて行って「ルール」がわかっていないお客さんには結構当たりが強いらしい。
連れて行ってくれた方が、もうかれこれ40年くらい通っているお店だそうで、運良く食べることができました。
マスターは、「この人怒ったら絶対怖いわ…」という印象で、写真を撮ると怒られそうな予感がしたので、カメラ小僧のぼくでさえ自粛しました笑。
お店の雰囲気
厨房は整理整頓が行き届いています。
うる覚えなのですが、麺を茹でたお湯などを鍋を傾ければすぐに捨てられるような構造の厨房でした。マスターが一人でテキパキと機敏に無駄のない動きをするために考えられた機能的な厨房。見ていて気持ち良く、美しささえ感じました。
入ってくるお客さんは、マスターのことが大好きなのだとわかります。
大きな声で挨拶をするんです。体育会系の人が集まるお店なのかな?笑
衝撃的だったのは、注文の時に「今何ができますか?」と聞くところ。
マスターの仕事に合わせて注文をするのです。自主的にですよ。
あと冗談で(だと思う笑)、マスターはぼくが長野県から来たのを知って「県外の人間がいたらここの市民の食べる分が減っちゃうよなぁ!」と言っていました。この地域が好きでこの地域に住み、この店をこよなく愛する「相手」のためにラーメンを作っているのがわかります。
で、これも衝撃なのですが、お店には常連さんが勝手に作ったらしい「ルール」がパウチして貼られているんですよ。こんなお店見たことないです。お客さんが作りたくて作った缶バッチとかキーホルダーもありました。マスターの機嫌がよかったらしく、運良くぼくもいただくことができました。
マスターとこのお店のことが大好きで、みんなここにきているんだなぁと。
埼玉のソウルフードラーメン登場
で、肝心のラーメンですよ。
最初、むちゃくちゃ緊張してたのでちゃんと味わえるか心配でした。
まずは透明なスープを飲んだほうがいい、というのでスープから。
ん?薄いな。
で、上に乗っているあんかけだけ。
ん!熱いし辛い!
そして次は混ぜで食べる!
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うおおおお!熱い!辛い!!!!
舌がジンジンしてきます。でもなぜか手が止まらない。。。
そのあと、思いもよらなかった、今年最大の衝撃が起こりました。
洗礼のあとに待っていたもの
マスターの「愛のムチ」のような笑、熱くて辛い洗礼を乗り越えると、次々に素材の個々の味が登場し始めるんです。「これはマジックなのか?」と思いました。でもそれくらいビックリしましたよ。どうやったらそんな仕掛けができるんだろうか…と。
ニンニクの味、しょうがの味、、、と次々と口の中で弾ける感じです。
そして、素材が全て一つになって、最後に「優しくて温かい味」が口の中に広がるんです。
なんだか包み込まれた感じがしました。こんな強面のマスターなのに笑。
ちょっと感動してしまい、ちょっとウルウルしながら、スープまで全部飲み干しました。
これはそのラーメンの貴重な写真。
普通は撮れないそうですが、ぼくを連れて行ってくれた常連さんが、マスターの機嫌が良い日に撮影したものを送ってくれました。
あー、、、書いて写真見たら、唾液が出てきた。
また食べたくなってきました。
ラーメンに込められたストーリー
このラーメン一杯に、マスターが40年以上かけて作ってきた想いやストーリーが、全て凝縮されて込められている気がしました。
ぼくが見た事実から考えると、
・お客さんは地元の人で、マスターとマスターのラーメンを「愛していると言える」レベルで好き
・マスターもいつも来てくれる、自分を理解してくれるお客さんたちが大好き
・マスターはその人たちのために常に最高のラーメンを提供している
・お客さんはマスターが最高の仕事ができるようにサポートもする
すごくないっすか?この関係。
「作り手」と「お客さん」の常識的な関係性を超えています。
常識を超えた関係が生まれた理由
でもなぜその関係性が生まれたのかというと、起点はやはり作り手であるマスターからでしょう。
マスターがラーメンを作ろうと思わなければこの関係性は生まれていません。
で、なぜその関係が育ったかと言えば、マスターは自分の「ブレないあり方」を持っているからだとぼくは思いました。
それはつまり、
「自分が作りたいラーメンを、誰に、どうやって手渡すか?」
という意識を、常に明確に持って作ってきた、ということ。
「大切な目の前のお客さんのために、自分には何ができるか?」
目の前の、たった一人のために、ラーメンを作るということを繰り返しながら、一杯のラーメンにたくさんの「大切な相手」のストーリーを込めてきたんじゃないかと想像します。
2軒目:繁盛している誰でも気軽に入れるお店
次に、同じ名前の同じようなラーメンを提供しているラーメン屋さんに行きました。
そこはとても繁盛していて、お客さんが並んで待つほど。
店内を見ると、お客さんは黙々とラーメンをすすっています。
同じく埼玉のソウルフードラーメン登場
うまかったです。確かに。
でも、感動はありませんでした。
このコントラスト(対比)を書くと悪口に感じられてしまいそうなので、これくらいでやめておきます笑。
いや、うまかったはうまかったですよ!
感動を生む仕事とは?
このコントラストは、「自分がどんな仕事をしたいか?」を考えるヒントになります。
「顔が分からない大勢を相手に、それなりに響く仕事をしたいのか?」
「相手の顔が思い浮かぶ、特定の人たちに深く響く仕事がしたいのか?」
相手に深く響く感動のストーリーは、一人の作り手が「たった一人の相手」のことを考えて作りたいものを作ることから始まります。
たかがラーメン、されどラーメンです。これは何にでも言えることだと思います。
ファッション的に人が群がるような仕事と、たった一人の相手のことを思い浮かべる仕事。
どちらの仕事の方が、相手の心を豊かにするのか?
自分は、どんな仕事をしたいのか?
・・・・・
まとめ
このコントラストからぼくが学んだこと。それは、
まずは、自分のストーリーに共感してくれる「たった一人の相手」の「切実な悩み」を解決するサポートをして、その人が幸せな気持ちで日々を過ごせるような仕事をしようと決めました。
それが、自分にしか描けないストーリーにつながっていくのだと、埼玉のソウルフードを食べてわかったのです。
ありがとうございました。
それではー!