ぼくは2016年3月で約10年勤めた会社を辞めます。それはなぜかと言うと、いろんなキッカケが重なったからなんだけどその一つに「なんのために仕事をしているのかわからなくなったから」というのも含まれています。
なんのための勉強?
学校は勉強するために行くものであり、勉強は大学に入るためにするものであり、大学には行かないよりは行った方が良いと思い、高校ではみんなにつられて受験勉強をしました。
大学に入ってから、それなりの会社に就職するためにはそれなりの大学を出ておいた方が有利だし、ああ大学に入れてよかった~なんて安心して、今度は卒業することが目的となり、遊び呆けた4年間。
なんのための就職?
「働く」とか「仕事をする」とか、何の疑問も持たずに。
大学を卒業したら、企業に就職する、ということに何の疑問も持たずに。
今振り返ってみると、ただただ社会の仕組みに乗っかって運ばれてきた36年間だったのかもな、と思えてきます。
お金のための仕事?
そして今、「なんのために仕事をしているのか?」という疑問にたどり着いてしまい、生活のためだけの仕事、お金のためだけの仕事ではないんじゃないかという気持ちが抑えられなくなってしまった。
「人はパンのみにて生きるにあらずや!」と思ってしまったのです。
ぼくは不器用でバカなので、「子どもが3人いて、次に何をするか決まってないけど、とにかく辞める」という取り返しのつかない方向へ舵をきってしまいました笑。イヤでも不安でも辛くても、次の新しい世界に踏み出さなければならない状況へと自分を追い込んでみます。
なんのための仕事?
「会社を辞める」ことを先に決めると、より一層「お金」に対する不安が頭をもたげます。
お金のための仕事を今までよりも強く意識する。本末転倒とはまさにこれのこと笑。
でも、「なんのために仕事をするのか?」という疑問が出発点であることは忘れません。
ものすごい葛藤の中を、ドキドキしながら進んでいる感覚。
と、そんな中、長野県上田市にあるオシャレなブックカフェNABO.(ネイボ)さんの1周年パーティーで、この本と出会いました。
伝えたいこと
この本は、「伝えたいことがある」本ではなく、「問い」そのもの。
仕事とか働くということについて普通の人の何十倍も考えているであろう、この本の著者であり「働き方研究家」の西村佳哲さんの、自分自身へと投げかけている「問い」が、そのまま仕事に悩む人たちへ優しく刺さる「問い」になっています。
響いた言葉
引用しまくらせていただきます。
常識に追い込まれていく現代の人
「なんのための仕事?」という問いは、昨今の社会状況をめぐる気持ちからこぼれ出たものだ。
たとえば商品やサービスをめぐる価格競争を、心から本当にやりたいと思っている人なんているのだろうか?
ぼくはいないと思う。「そうするしかない」という感覚で働いているんだろう。
選択肢の無さを漏らすこの言葉には、なにか追い込まれて犯罪を犯してしまう人や、自ら死を選んでしまう人たちの心境に重なるものがある気がする。
「デザイン」の向こう側
デザインは世界を嘘臭くしたり、紛らわしくする仕事になってしまっている感がある。
そして自分の胸の内に、「僕らは一体何をやってんだ!?」という、言いようのない気持ちが生まれる。
「デザイン」自体には、希望も絶望もない。
大事なことは私たちがその向こうに何を求めているのか?だ。その力の影響を受ける人間を、どんな存在としてみているか?ということ。意味も価値もそこにかかっている。
西村さんの仕事観
「仕事っていうのは興味があることに取り組めて、一緒に働いてみたい人と経験を共有出来て、上手くいけばお金ももらえる。自分のためのプレゼントのようなものだと思う」
心の中にある豊かさが、現実世界をつくりだす
いまこの瞬間に遠くで、併行して進んでいるにちがいない他の時間のことを思い浮かべるときに生まれる、不思議な気持ちの膨らみはなんだろう?
写真家の星野道夫さんは、高校生のとき通学中に、突然「いまこの瞬間、アラスカの草原を歩いている熊の親子がいるんだ」という気づきに、胸を鷲掴みにされたという。
彼はある本の中で「自然は二つあると思う」と書いていた。足元に咲いている花のような、手を伸ばして触れることの出来る自然と、心の中で思い浮かべる遠い自然。
その後者。人の心の中の自然の豊かさは、そのまま現実世界の自然に反映されてゆく気がする。-
人間の大仕事とは?
たとえば感性豊かなモノが増えることより、感性の豊かな人間が増えることの方がよほど素晴らしくて価値のあることだ。美しいモノが増えることより、日常の中に美しさに心をひらく人が多い方が素敵ではないかな。
人間の大仕事の一つは世界を感じること。そしてその中で生きている自分に気づくことにある。
「生きていること」を感じるために生きているといったら言い過ぎだろうか。
生き生きとした
生き生きとした…という言葉には「生」が二度登場する。御飯をたべて、動いて、呼吸していれば生きているというわけじゃあない。
ただ生きているような日常の中で、さらにもう一度生きる、あるいは生まれ直す。そういう瞬間を、「生き生き」という言葉で私たちは捉える。
素晴らしいことや、かけがえのないことは、私たちのまわりにたくさんある。既にある。それに気づいていたい。世界と共感的に生きるためになにができるだろう。僕らはデザインを、そっちの方向に使ってみたい。
まとめ
まだまだ心に響く言葉がたくさんあるのですが、いくら引用してもしきれません。
また、本の中にある西村さんのストーリーを感じながら、自分のストーリーと重ねながら読まないと、体に染み込まないと思いますので、仕事について考えたい、悩んでいるという人は是非読んでみてください。
ぼくの心に一番響いたのは、
「心の中にある豊かさが、現実世界をつくりだす」という話と、「人間の仕事は、世界を感じ、その中で生きている自分に気づくこと」という話。
心に思い描くことが現実になる。夢のような話かもしれませんが、ぼくはそうやって生きていこうと最近思ってます。だって諦めてつまんないこと考えて、つまんない世界で生きていくのってつまんないじゃないですか笑。面白い世界は、向こうからやってきてはくれませんから。
そして、お金や生活や世間の目や常識に縛られたり、誰かの思う正解の通りにするのではなく、自分で考えて決めるんです。
自分が心から「好きなこと」「やりたいこと」を見つける。自分と向き合う。
恐くて不安でも、間違っててもいいから「生きている実感」を求めて1歩前に出てみる。
心に豊かな世界を思い浮かべながら、目の前の世界で「生きている自分」を感じられることをする。
これからは、そうやって生きていきます。
素敵な本でした。
それではー!