【工作機械】いま、日本のモノづくりに「きさげ」が必要なワケ





 

 

「きさげ」って実はめちゃくちゃ熱いんです!なにがそんな熱いのか?書いてみます。

 

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「きさげ」ってなんなの?

 
ではまず、「きさげ」ってなによ?ってところから。
わたしもよくわかっていないので、ちょっと調べてみました。
(といってもネットでちょっと検索したレベルです)

 

きさげ加工-ウィキペディアより-
 

きさげ加工(きさげかこう)とは、金属加工の一種であり、工作機械のベッドのような滑り移動を行う金属平面の摩擦抵抗を減らす目的で製造時の仕上げ工程で施される、微小な窪みを付ける加工である。

 

可動部を持つ機械部品では、平坦度が高まると2つの面の間に潤滑油が入らずリンギング現象によって固着や焼き付きといった問題が生じるため、微細な潤滑油の供給源となる油溜まりを作るために人手による特別な加工が必要になり、それが「きさげ加工」である。きさげ加工では平滑な動きを阻害しない範囲で意図的に微小な窪み加工が施される。(ウィキペディアより)

 

きさげといってもその用途によって、
・部品の面と面をぴったり合わせてネジを締めても変形しないようにするためのきさげ
・組み合わさった部品がガタガタせずに、真っ直ぐ、滑らかに動くように合わせこみながら潤滑油が溜まるくぼみまでつくるきさげ

など、さまざまです。

 

注意が必要なのは、ここで言う「変形」とか、「ガタガタせずに」というのは、一般的に「スプーンが変形する」とか、「ドアがガタガタする」というレベルとはまったく次元の異なるもので、1ミクロンレベルの変形・ガタガタのお話。

 

ちなみに普通のコピー用紙の厚みは90ミクロン、髪の毛は50〜100ミクロン、中国で話題になっているPM2.5は直径2.5ミクロン。
1ミクロンって、「見えない世界」のお話なのです。

 

 

「きさげ」が熱い理由

 
わたしが働いている会社にもきさげ加工が使われる工程がありますが、工作機械に使われる部品はどんどん改良されているし、モノづくり技術や製品コンセプトも改善が進み、時間・人という2大コストが大きく掛かるきさげの代替技術が発達してきている世の中。
手間の掛かる作業はどんどんなくなっていく流れです。

 

今後、会社と個人が成長していくためには、時間・人のコストを下げるための技術開発や工夫をしていかなければならないのは間違いありません。

 

一方で、前の工程の加工精度や加工技術をいくら上げても、どうしてもうまくいかない部分は人間の手によって補っていかなければならない領域がいつの時代も必ずあるハズです。

 

きさげは「母性原理を人間の手で超越するための技術」の1つなわけです。なんだかロマンですねえ。

 

でもそんなことを考えなくても、人によってはきさげに情熱注ぐ人もいます。
時間を忘れて没頭できる作業。精度をとことん突きつめたくなる作業。
その人のクセやこだわりを全開にして、突きつめていけるのが「きさげ」というものではないかと思います。

 

また、JIMTOF2014でもきさげのブースが作られるほどでした。多くの人の興味を惹く不思議なところがある。

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きさげと向き合うことは、現在のモノづくり業界のテーマとなっている「標準化と個性化」と向き合うということ。
相反する価値をどのように両立させていくか?という議論のタネになるし、多くの人の興味を惹くとても不思議な「仕事」ですよね。

 

 

まとめ

 
工作機械に関わる日本人にとって、薄れゆく「きさげ」の勉強することは重要なことだと思います。

 

なぜかというと、きさげは、あまり意味を考えずに目の前のハードな作業に没頭できる日本人に向いている作業だと思うからです。日本人向きで、日本人的に育てられてきたきさげ技術は、日本が世界に誇れる技術であり、貴重な財産。

 

それに、工作機械を人の手によって母性原理を超えていくために、今後も絶対に必要な技術であり、なにより「誠実な仕事」「働く喜び」につながっていく、個人と会社を循環するつながりを生み出すもの。

 

いま、日本のモノづくりにとって一見不必要そうにみえて、かなーり必要なものであるとわたしは思っています。

 

 

あなたの「人生の文字盤」が見つかることを願っています。
それでは!

 




 

ABOUTこの記事をかいた人

1980.1.1 東京生まれ YouTubeチャンネル『シンプリィライフ』では、本を参考にしながら無意識の思い込みから自由になる方法をアニメーションで解説しています。本業は古本買取サービス「バリューブックス」のSEOマーケティング担当。