昨日、「エンパワーメント」という言葉に出会いました。
エンパワーメントとは、そのまま訳すと「パワーを与える」という意味なのだそうですが、この本には「パワーを与えるという意味にとらえがちだが、そうではない」と書いてあります。
エンパワーメントの定義について考えていたら、恋人や結婚相手との関係性にはエンパワーメントのヒントが隠れているなと思ったので考えてみます。
自分ひとりの目標によって自分がエンパワーメントされる
まずはじめに、ひとりの状態でエンパワーメントされるときはあるのかを考えてみます。
たとえば山登りが好きで、とある山の山頂を目指して登りはじめたとします。
暗くなる前に下山しなければならないのですが、途中で道に迷い、時間は14:00。
計算では、あと1時間ほどで着くはずで、それでも暗くなる前に下山するためにはギリギリ。
そのとき持っていたものはスマホ、非常食のカロリーメイト1箱と水200ml、タバコとライター、寒くなった時のために持ってきた薄手のウインドブレーカー、ライト。
ここで、「今現時点での目標は何か?」と考えます。
そして、いま持っているものや情報を把握し、目標のためにまずはじめにしなければならないことは何なのか?制約は?タイムリミットは?最低限守らねばならないルールは?ベストな行動は何か?と考える。
そして、この状況を乗り越えるために、最初の行動をはじめる。
どうしても山頂にたどり着きたい!と、山頂にたどり着いたときの達成感、そのときに見える美しい景色、心が澄んでいく感覚を想像する。
そういう思いで、諦めずに山頂を目指す、時間通りに。
そして、ひとつひとつ、全力で実行していく。
これは自分が好きではじめた山登りで、目標のために自分をエンパワーメントしているひとつの例ではないでしょうか。
これがもし、「ダメだ、下山しよう……」となるとしたら、下山できないかもしれないリスクを想像して怖くなったからか、準備不足や情報不足か、そこまで魅力的な目標ではなかった、ということかもしれません。
好きな人への思いが自分をエンパワーメントする
ではこれが、相手がいることであったらどうでしょうか?
たとえば大好きな恋人や結婚相手のために、何かをしてあげたいと思う気持ち。
誕生日に相手の好きなものに想像を巡らせてプレゼントを買う、彼氏の部屋が汚いから掃除をしてあげる、彼女の体調が悪いから体に良いご飯を作る。
家族が活き活きと活動できるように家を整える、家事をする。
元気のない親のために時間を作って旅行を企画する。
自分ひとりでは絶対にすることがないはずのことを、何の見返りも求めず、ただそうしたいと思うからする。
相手の状態を把握して、相手が心地よい状態を想像する。
自分が持っているものやできることを把握して、最適な行動を選択し、実行する。
ひとりでは起こりえなかったけれど、大好きな相手、大切な相手がいることで現実が動く。
相手も嬉しいし、喜んでもらえたら自分も嬉しい。
これらは相手を想像することによって引き出された力で、つまりエンパワーメントされたということではないでしょうか?
より多くの人へ、という思いが組織をエンパワーメントする
もっと多くの人に喜んでもらいたい。
でもひとりの力では、喜んでもらえる人を増やすには限界がある。
同じような思いを持った人と一緒に、その喜びを広げていきたい。
そうやって仲間が集まり、ひとりでは達成困難な大きな目標に組織でチャレンジし、成功する。
ひとりの人がエンパワーメントされて、多くの人の力を借りて、自分の思う範囲でやっていくこともできますが、それには限界があります。
ひとりひとりがエンパワーメントされて、多くの人が同じ方向に向かって持っている力を発揮することができれば、より大きな目標にチャレンジする意欲も生まれます。
恋人や結婚相手に見返りを求めずしていることはあるか?
ちょっと話を変えますが、恋人とか結婚相手とか、好きな人、大切な人のためにやっていることがあると思います。
それが、
①イヤイヤやっていることなのか、
②役割だから仕方なくやっていることなのか、
③見返りを期待して無理してやっていることなのか、
④自然と、その人のためにただやりたいからやっていることなのか、
を分類してみましょう。
①②③には無理があり、エンパワーメントされていません。
でも④は少し違いますよね。何かにエンパワーメントされている匂いがします。
そしてこれにより、相手が喜び、相手が喜ぶことが自分も嬉しく、もっと喜んでもらいたいから工夫をし、自分の成長と共に相手の喜びが増していくとしたら、とても良い循環ですよね。
ひとりがふたりへ、ふたりが多くの人へ
自分をエンパワーメントする方法は、まずは自分のために好きなことややりたいことをやることからはじまり、好きな人や大切な人のために何かをしたいと思うことを経て広がり、さらに多くの人のために何かをしたいという思いへと広がっていきます。
自分のことについて自分事になるチャンスは結構あります。
生活も、仕事も、趣味も、まずは自分が満たされるため。
自分を喜ばすことがスタートです。
そのあと、喜びが大きく広がっていくポイントは、恋人や結婚相手や家族、自分以外の誰かひとりのために何かをしたいと思えた瞬間なのではないかと思うのです。
まとめ
達成したいことや理想、生きている社会のルールと自分の持っている性格や能力という条件、世の中の原理。
何かしらの枠組みの中で、情報を得て、どのように実行することが適切かを考えて、行動する。
自分を喜ばせながらもっと誰かを喜ばせたいと思ったとき、いま自分で決めているその枠組みを超えようとしたり、社会のルールに挑んだり、自分の持っている性格や能力を自覚して変化させようとしたりと、自分で考え行動しようとチャレンジをはじめます。
それがエンパワーメントされている状態だとぼくは思います。
やらなければならないとか、やるべきとか、そう考えたら力が出ないのだとしたら。
もし、目の前の恋人や結婚相手に対して、何かをしてあげたいという純粋な気持ちがわき起こるのだとしたら。
軽やかに、自然に、そして無理のない範囲でやりはじめればいいのではないでしょうか。
エンパワーメントのきっかけは、恋人や結婚相手との関係の中にあるかもしれません。
それではー!