仕事を流れるように進める「ひとりアジャイル」タスク管理術のススメ

 
未来のことを考えすぎてしまい、ちっとも行動に移せない…何から手をつければいいかわからない…って経験ありませんか?

そんな時、アジャイル方式のタスク管理術が効果的である、ということがアジャイル勉強合宿でわかったんです。

 

目標を持つことは大切

例えば旅に出かけるとき。

目的地を決めて、地図やスマホ、電車や車を使ったり歩いたりしながら到着しますよね。

行きたい場所があるから、行く方法を見つけて、進んでいけます。

仕事も同じで、目標を決め、あらゆる方法や手段を検討して行動を起こし、その場所に到達することができます。

目標がなければ、どこに向かって進めばいいか、どんな方法で、どんな手段を使うのが最適なのかわかりません。

行きたい場所、なりたい自分になるために。

目標や、未来について考えることはとても重要です。

 

人は未来を考えすぎると行動できない

ですが、目標について常に考えていると日々の仕事に悪影響を及ぼし、逆に前に進めなくなることってあるようなんですよ。

「もしかしたら、未来はこうなるかもしれない…」
「だとしたら、これをやっていても意味がなくなるかもしれない…」

超極端に言うと、

「明日富士山の頂上まで行く予定だけど、噴火したら死んでしまう。死にたくないし行くのやめようかな…そうすると今、登山道具を用意しているけどこれも意味がなくなるなぁ…なんだか用意する意味もよくわかんなくなってきた。」

という感じかもしれません。極端にいえば笑。

でもそうやって、今からやろうとしている行動に意味を見出せなくなり、現実の一歩を踏み出すことができなくなることがあるんですね。

 

だからアジャイル方式のタスク管理術

本来はプロジェクトを効果的に進行していくための手法として使われているようです。

 

アジャイルとは『すばやい』『俊敏な』という意味で、反復 (イテレーション) と呼ばれる短い開発期間単位を採用することで、リスクを最小化しようとする開発手法の一つです。

アジャイル開発~顧客を巻き込みチーム一丸となってプロジェクトを推進する~ (前編)

 

結構難しいことが書かれていますね…
もし専門的に学びたいという方は、合わせてこちらの本も読んでみてください。
 

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

  • 作者:Mike Cohn,マイク コーン
  • 出版社:毎日コミュニケーションズ
  • 発売日: 2009-01-29

 
本来、アジャイル方式とは、プロジェクトをチームで進める場合に有効な手法のようなのですが、ワークショップで体験してみて、ひとりで仕事を進めるのにも使える!と感じました。

 

ひとりアジャイルタスク管理術について

ぼくは今回、会社の合宿でアジャイル方式の考え方を使った「仕事をタスク分解する」ワークショップに目からウロコだったので、それについて紹介します。

これは合宿の朝食。
朝食

気持ちの良い場所でした…
信州音楽村からの景色

本来はチームで作り、チームで仕事を回してくための手法ですが、今回はひとりでやる場合にどう適用するのか?について書いていきますのでご承知おきください。

ひとりアジャイルタスク管理術は、「未来の目標」と「現実の一歩」を切り分けて、日々の行動を無駄なく実行するための手法です。

目的地に向かうために、この一歩はどの方向に・どれくらい・どうやって踏み出せばいいか?を明確にするものです。

それでは、簡単に解説していきますね。

 

プロダクトを仮決めする

まずは作りたい製品やサービスをを設定します。

例えば、「メルマガ」でも「ブログ」でも、一旦はなんでも良いです。

自分が、誰かに提供したい!と思うものを設定します。

 

ユーザーは誰なのか?

ユーザーとは、端的に言うと「そのプロダクトに価値を感じ利用する人」です。
プロダクトを使用してほしい相手は誰なのか?設定しましょう。

「メルマガ」というプロダクトであれば、どんなメルマガを書くかによってユーザーは変わってくるでしょう。

ブログ運営についてのメルマガであれば、ユーザーは
「アクセス数が上がらず悩んでいるブログ初心者」とか、「ブログを立ち上げたはいいけど何から手をつけていいかわからない人」なのかもしれません。

自分が作るプロダクトによって、ユーザーは変化します。

メルマガを読んでほしい対象は誰なのか?を決めましょう。

 

ユーザーが感じる価値はなんなのか?

次に、ユーザーがそのプロダクトのどんなところに価値を感じて利用するのかを知る必要があります。

当然そのプロダクトに価値、つまり魅力的であるとか、使いたくなる、メリットがある、などの理由がなければ、ユーザーは選んでくれません。

プロダクトを利用する人は誰なのか?何に価値を感じて選んでくれるのか?を考えて設定します。

「アクセス数が上がらず悩んでいるブログ運営初心者」であれば、
・あなたのブログアクセス数を2倍上げるために書くべきジャンル
・検索流入を上げるための記事の作り方
などに価値を感じるかもしれません。

 

プロダクトを再検討する

ユーザーやユーザーが感じる価値がわかってきましたか?

そうしたら、最初に一旦仮決めしたプロダクトは、ユーザー目線になっているか?再検討してみましょう。
アジャイル方式におけるプロダクトは「自分が絶対に作りたい!」というものではありません。「ユーザーが価値を感じるもの」というのが大前提。

それは、ユーザーが的確に設定できてはじめてわかるものです。

ここでプロダクトをユーザー目線に立って再検討し、例えば「ブログ初心者のアクセス数を今の2倍にするメルマガ」のようにできるだけ具体的にしてみましょう。

 

オーナーを決める

次にオーナーを決めます。
オーナーはユーザーが価値を感じるものを知っている人でなければならず、「こんなプロダクト(製品)を作りたい!」と明確に提示できる人です。

これまで決めてきた流れから、あなたはプロダクトもユーザーもわかっています。
つまり、ひとりアジャイルなのでオーナーは自分です笑。

でも、ひとりではアイデアや視点に限界があります。

プロダクトの価値を高めるためのアイデア出しは、 仲間に助言してもらいながら進めましょう。

 

プロダクトをストーリーに分解する

設定したプロダクトを構成するストーリーを考えます。

要は「分解する」イメージです。

例えば「ブログ初心者のアクセス数を今の2倍にするメルマガ」であれば、ユーザーは、
・検索される記事作成ができるようになる
・ブログサイトのアクセスをポイントを押さえて分析できるようになる
・SNSを活用し拡散できるようになる

などでしょうか?

ストーリーもユーザー目線。
ユーザーが何ができるようになれば、そのプロダクトに価値を感じるのか?をできるだけ具体的な言葉で表現します。

 

ストーリーをタスクに分解する

最後にタスク分解です。
出てきたストーリーをより細かく分解します。
そして、これが日々の行動リストに変わります。

例えば「検索される記事作成ができるようになる」であれば、
・検索されるキーワードの見つけ方についてのメルマガを書く
・グーグルに「良い記事である」と認識してもらうための方法についてメルマガを書く
・検索される記事にするための記事構成やテクニックについてのメルマガを書く
など、どんどん細かくしてみましょう。

ここまでくれば、大きな目標が日々やることに分解されている状態になります。
あとはひとつひとつ淡々とこなしていくだけ。

んー!スッキリしてきますね!
これで未来の不安に惑わされず、仕事が進みそうです。

 

ひとりアジャイルを進める上で大切な3つのこと

よし!じゃあ今日からやってみよう!
という前に、もう少しやっておきたいことがあります。

それは、ストーリーの「優先順位を決める」です。

アジャイル方式で仕事を進めていくときに重要なのは、ストーリーの「3つの分離」です。

1.不確定要素が確定要素に影響を及ぼさないように分離する。
2.依存関係を分離する。
3.必須と付加価値を分離する。

この3つの分離によって優先順位を明確に決めることができれば、スムーズにストーリを進行していくことができます。

逆にこれがうまくいかないと、やっているうちに「あれ?これができていないとこちらができないぞ…」と作業に集中できなくなり、ドツボにはまっていくこと必至です。

 

1.確定要素と不確定要素

ストーリーには確定要素・不確定要素とあります。

例えば「このストーリーについては社長の了解がないと進めれられない」「外部の人の協力なしには進められない」など、誰かの意思決定や協力がなければストーリーを進めることができないもののことです。

そんなときは、「外部の影響に関わらず進められるストーリー」や「依存関係の強いストーリー」から始めるというように、優先順位をつけていくことが必要です。

わかりやすい例として、「カレーを作る」というプロダクトがあった場合、ユーザーが「カレーが食べたいかシチューが食べたいかわからない」場合、にんじん・玉ねぎ・じゃがいも・お肉を焼いて煮込むところまでは進められます。

でも、カレールウを入れてしまえば、もうシチューにはできません。
ユーザーに「あー!シチューがよかったのにー!」と言われたら、そのプロダクトはユーザーにとっての価値を高めることができなくなります。

そんな感じで、確定要素・不確定要素を考えて優先順位を決めてみましょう。

 

2.依存関係

また、こっちのストーリーが完了しないとこちらのストーリーには取りかかれないという「依存関係」を持っている場合もあるかもしれません。

カレーでいうと、「Aさんがカレーに入れる極上お肉を持ってきてくれるから、お肉を使う前までしか料理は進められない」などです。

時間が限られているのであれば、「Aさんに早く来てもらうように電話する」というタスクが発生することも考えられます。

依存関係を考えて、優先順位をつけて仕事を進めていくことも重要です。

 

3.必須と付加価値

そのストーリーがなければプロダクトは絶対に完成しない!というもの。それを「必須」とします。これは、何があっても実行しなければならないもの。

かたや、必須ではないけれど価値を高めるためにはやっておきたいものを「付加価値」とします。

まずは「必須」と「付加価値」のストーリーを分け、「必須」のストーリーから完成させます。

「必須」が終わって、時間が余っていたら、「付加価値」をプラスするという優先順位で仕事を進めましょう。

 

アジャイルの目的はあくまで価値の最大化

オーナーはユーザーが感じる価値を知っているけど、プロダクトの価値を最大化する視点をすべて持っているわけではありません。

アジャイルでは、オーナーはチームメンバーの新鮮な視点を柔軟に取り入れ、対応していく姿勢が必要です。

ですが、他者の意見に振り回されてブレブレでも仕事は進みませんし、いいものはできません。

柔軟性を持った上で、ビジョンからブレないように立ち振る舞うという二面性が必要になってきます。

 

ひとりアジャイル進行中に毎日やるべきこと

アジャイルでは、ストーリーを大体2週間くらいのタスクボリュームになるよう調整します。
で、2週間ごとにストーリーを完成させます。

その時に大切なのは、

「昨日の振り返り」
「今日の行動リストを作る」

を毎日やることです。

進めているプロダクトがひとつであればまだいいですが、おそらく仕事は他にも同時並行しているはず。

毎日、昨日何があったか振り返り、その日の行動リストを作る上で気をつけることはないかを考え、行動リストを作る。

振り返り、何を感じ、その後どうするか?
そんな風に改善しながら進めていくのがひとりアジャイルの特徴です。

 

ひとりアジャイル応用編:行き詰まった時のパターン

ひとりアジャイルタスク管理術の基本を書いてきました。
とは言っても、時にはうまく分解できずに行き詰まってしまうパターンもあります。

つまづきそうな部分はどこなのか?どんなパターンの時にどうしたらうまくいったのか?
書いておきます。

 

「プロダクトを改善する」というプロダクトをつくるパターン

すでに仕組みがあり、仕事として回っているプロダクトを改善する場合にもアジャイルを適用できます。

その場合、無理に新しいプロダクトを作ろうとすると、プロダクトが不明確になってしまい、うまくストーリーに分解することができません。

「なんか行き詰まってきたな…」と感じた時は、無理にプロダクトから出発してストーリーに分解するのではなく、ぼやっとしたプロダクトからとにかくストーリーを洗い出してみる、ということを試してみてください。

 

ストーリーが明確にならないパターン1

ストーリーが明確にならない場合、思いついたタスクをどんどん出して、リストにしてからストーリーにまとめていきましょう。上から順番にやらなければならないことはありません。

 

ストーリーが明確にならないパターン2

もう一つは、そもそもユーザー設定がうまくいっていない場合があります。
もう一度、そのプロダクトを届けたいユーザーを考えてみて、変えてみましょう。
そうしたらすんなりストーリーに分解できた、というケースがありました。

 

外部への依存度が高いパターン

洗い出したストーリーやタスクが、ほとんど外部の人の仕事になってしまい「自分のやることがない…」とか、「タスクが出てこない…」というケースがありました。

この場合に、プロダクトを「メタ的」なものにするのが有効です。
その外部の人が行動しやすくなるためのサポートや提案書を作るというプロダクトにしてみましょう。

 

分解したタスクに依存性の高いものが現れるパターン

ストーリーの中に「これを完了させなければ他のストーリーが全く進まない・進めても意味がない」と思われるタスクが現れた時は、依存度の高いタスクを分離し、別のストーリーを作り、優先順位をつけると仕事を進めやすくなります。

 

まとめ

いかがでしたか?

ひとりアジャイルタスク管理術は、未来を見すぎて行動できなくなる人にとって最適なタスク管理術です。

妄想や想像だけをしていると、良くない感情に引っ張られて行動できなくなる時があります。

ですが、行動リストが細分化されていると、余計な妄想をせずに淡々とこなしていく環境が整ってきます。

さらに、目的や目標から、プロダクト→ストーリー→タスクに分解していくことで、「何のために今日これをやるのか?」が明確になります。

ひとりアジャイルタスク管理術は、感情をコントロールして行動を起こしていく手法でもあることがわかりました。

 

ひとりアジャイルとは言いますが、この一連の作業は、数人でやるのがオススメです。

そのほうが多様な視点が入るので、ユーザーにとっての価値の最大化やタスクに落とし込む作業もひとりよりもうまくいきます。

ぼくはこんな感じの表を作りました。
アジャイルタスク管理表
ひとりアジャイルタスク管理表

 

皆さんもよければ試してみてくださいね。

それではー!

 

ABOUTこの記事をかいた人

東京都北区出身。 これまでの経験と読書遍歴を活かして、現在は動画制作・コミュニティー運営・速読読書会開催・YouTubeチャンネル運営・オンライン講座を通じて、人が自らの才能を発揮し自由に生きるためのサポートをしています。