
はいこんにちはシンプリィライフの大野です。
今回は、さとうみつろうさん著『Lei』を参考に、マーケティングで使われている行動心理学「左回りの法則」についての学びから、「宇宙と人間と地球の左回りの謎」へと発展させて考えていきたいと思います。
文章が苦手な方はこちらの動画をご覧ください!
マーケティング「左回りの法則」
マーケティングの「左回りの法則」とは、スーパーやコンビニで「右回り」の店を「左回り」に改装するだけで売上が10~20%上がるという統計結果のこと。
なぜそんなことが起こるのでしょうか?
左側にある心臓を守るために無意識に左足を手前へ引くとする説や、地球の自転との関係、左脳と右脳による命令系統の違い、体内の臓器の重量バランスの違いなどなど、諸説あるそうです。
他にも、たとえば知らない町で迷子になったとき、人間は必ずと言っていいほど左に曲がる、という話もあります。
右へ曲がると違和感を覚えて不安になる。人間は「右回り」を気持ち悪く感じるんです。
だからオバケ屋敷とか、怖がらせる仕掛けをつくりたい場所では、実はわざと「右回り」にして違和感を演出するのが常識になっているそうです。
逆に、スーパーやコンビニでは、お客さんを「左回り」に誘導することで安心させて、リラックスさせて、財布のひもを緩める効果があるのです。

このような「左右の偏り」は、意識すると自然界人間界の至る所に見つけることができます。
この記事では、
- 台風も野球も陸上競技も左回りの理由
- 人間の身体を構成するアミノ酸はすべて左型
- 左巻きのニュートリノと生物の起源のナゾ
の3つのポイントに沿って、左回りの法則が効いている事例から地球生命の起源のナゾまで、幅広く紹介していきたいと思います!
ポイント1.台風も野球も陸上競技も左回りの理由
左回りの法則はマーケティングだけじゃなく、スポーツの世界でも良く知られています。
野球では、ヒットを打ったら1塁に向かって走り、2塁3塁を回ってホームに帰ってくれば点が入る。
このとき走者は左回りで走ります。
また、
陸上のトラック種目はすべて左回りとする
というルールが1913年に規定されました。

陸上競技では、昔は右回りと左回りのグラウンドが存在していたらしいんですが、あるとき、トラック種目の記録の統計を確認したところ、
右回りよりも左回りのほうが明らかにいい記録が続出していた
ということがわかり、左回りがルールとなったとのこと。
ではなぜ、左回りのグラウンドの方がいい記録が出るのか?
これには科学的な理由があるようです。
このナゾを解くカギは、
地球自体が右回転で自転している
という事実にあります。
地球の自転が陸上競技に及ぼす影響
地球はコマのように1日に1回転しています。
1日に動く距離を赤道で測ると、約4万km。
つまり、24時間で4万km動いている。
これを時速に換算すると、
赤道上の地点では、時速1700kmで動いていることになります。

わたしたちは、何気なく地球上で生きていますが、実は新幹線の約6倍ものスピードで動く物体のうえに乗っているんです。
この地球の自転の力と磁極の方向に影響を受けて、北半球では左回りの方がいい記録がでるんだ、というのが現在有力な説のようです。
面白いのは、南半球では反対のことが起きるということ。
最近の例で言うとシドニーオリンピックの時は陸上のトラック種目でいい記録があんまり出なかったそうです。
それはなぜなのか?と言うと、南半球では磁極が南極になるから。
ちょっと頭がこんがらがってきますよね。
台風の渦巻を見てみましょう。
北半球と南半球の台風の渦巻きからわかること

衛星写真をとると、台風は北半球では必ず「左回り」になり、南半球では「右回り」になるんです。
なぜかと言うと、台風は磁極に向かって進むから。
赤道付近で発生した台風は、北半球方向なら北極に向かって進み、南半球方向なら南極に向かって進みます。
その台風に自転の力が加わると、図のように北半球では左回り、南半球では右回りになる、ということです。
人間も台風も、地球の自転の影響を大いに受けている、ということが理解できる話です。
ポイント2.人間の身体を構成するアミノ酸はすべて左型
人間の身体にも「左」の偏りがあるようです。

人間の身体を構成するタンパク質の基「アミノ酸」には左型と右型が存在しています。
アミノ酸を人工的につくった場合、左型のアミノ酸と右型のアミノ酸がまったく同じ分量ずつできあがるのですが、なぜか人体を構成しているアミノ酸はすべて左型なのだそうです。
しかも驚くことに、人間の身体だけでなく、地球上のすべての生物のアミノ酸は、すべて、なぜか「左型」だけ。
これは長年、大きな謎とされています。
また、もっと面白いのは、人間はまったく同じ形をした左型のアミノ酸と右型のアミノ酸を舌や目、鼻、腸で判別することができるという事実。
味の素にはLグルタミン酸というアミノ酸が入っているのですが、このLは「左」のこと。
なんと人間は、Lグルタミン酸を美味しく感じ、右型のDグルタミン酸を苦く感じるのだそうです。
他にも、
自然界にある糖はすべて右型で、人工的につくった左型の糖=人工甘味料は、甘さは感じるが腸から人体には吸収されない
という話が『0Lei下』に書いてありました。
目も鼻も、舌や腸と同じように左回転と右回転を判別する機能を備えています。
成分がまったく同じでも、その物質が左回転なのか右回転なのかの違いによって、人間が感知する結果が変わってくる、という話。
いやー、そもそもアミノ酸に左型とか右型があることも知りませんでしたし、グルタミン酸や人工甘味料の話もまったく知らなかったので、驚きの連続です。
人間についても、自分自身についても、まだまだ知らないことがたくさんある、ということを痛感しました。
ポイント3.左巻きのニュートリノと生物の起源のナゾ
「ニュートリノ」という言葉をどこかで聞いたことありませんか?
ニュートリノに質量があることを発見した梶田隆章(かじたたかあき)博士とアーサー・マクドナルド博士は、2015年にノーベル物理学賞を受賞しました。
ニュートリノとは、宇宙の中で光の次に多い素粒子です。
素粒子とは、一言で言えば物質を構成する最小の要素のこと。
素粒子には、6種類のクォークと6種類のレプトンがあります。

他にも、力を運ぶゲージ粒子、質量(重さ)を与えるヒッグス粒子、電気の符号が反対の性質を持つ反粒子と呼ばれるパートナーが存在し、私たちのまわりにある水や花、宇宙、そして私たち自身も、これらの素粒子からできている。
ニュートリノは太陽や夜空に光る星の中で毎日生まれていて、星の寿命が尽きて超新星爆発を起こすときもたくさん生まれるそうです。
宇宙はニュートリノだらけで、わたしたちの身の回りを光速で飛び交っており、1秒間に数百兆個ものニュートリノが私たちの体を通り抜けています。

でも、ニュートリノは他の物質とほとんど反応しないので、私たちがそれを感じることはありませんし、害もありません。
ニュートリノの性質を理解することで、宇宙の誕生や物質の起源の謎を解き明かすことができるのではと期待されており、いまも世界中の科学者が研究を続けています。
そんなニュートリノには、
左巻きの粒子しか見つかっていない
と、さとうみつろうさんはLeiの中で書いています。
インターネットで調べてみると、
ニュートリノは捉えることが非常に困難で、その性質を調べることも非常に難しいのだが、調べることのできたニュートリノはすべて「左巻き」だった
という記述を発見しました。
<参考>
第3回:ビッグバンから100億分の1秒後のニュートリノ(詳しい編)
ここまでかなりややこしい説明でしたが、整理すると、



ここまでのまとめ
とわかりました。
という話をしました。
という話でした。
そして、ここからさらに面白い話へと続いていきます。
地球生命の起源の謎
さとうみつろうさんは、Lei下巻の中で、
- 人間の身体の中のアミノ酸は「左型」しかない
- ニュートリノには「左巻き」しかない
という研究結果を踏まえて、生命の起源に関する面白い仮説を紹介していました。
1980年代にアメリカのスタンフォード大学のボナー博士は、
生体がL型(アミノ酸の左型の話)だけに偏っている理由は、宇宙空間が生物の起源だから
という仮説を発表しているそうです。
宇宙には中性子星と呼ばれる星があり、この星は「右らせん」「左らせん」だけの信号を発しています。
仮に生命の起源が隕石に乗って宇宙空間を旅して地球へ降り注いだと仮定すると、宇宙空間で左らせんの信号を浴び続けることで、地球生命の起源はアミノ酸に偏りが発生した状態で地球に到着した。

だから人間の身体の中のアミノ酸は「左型」しかないんだ、という生命の起源のナゾにせまる仮説でした。
この謎が解明される日も遠くないかもしれません。
まとめ
はい、というワケで今回はさとうみつろうさん著『Lei下巻』を参考に、宇宙と人間と地球の「左回り」のナゾについて解説してきました。
古代では「神のしわざ」として片付けるしかなかった目に見えない現象が、科学の進歩によってどんどん明らかになっていくのは本当に面白いです。
これだから読書はやめられません。
それではまたー!