いま話題の「ティール組織」という本があります。
「これからどういう体制で会社を運営していこうか…」
「実はいままで、自分の会社の運営に違和感があったし、結果も出ていない…」
「一緒に仕事をしている人たち、なんだか苦しそうで、元気ないし楽しそうじゃない…」
「自分は会社で働くことを通じて何がしたいのだろうか…」
こういうことを「なんとかしたい!」と日々悩んでいる人なら、アンテナが反応してもうすでに購入済のことと思います。
ただ、本で買うと「お前ごときが読み終えられると思うなよ!」と言われているかのような重厚感。。。
それでもぼくは約1ヶ月かけて、すべての章を諦めずに読み終えました。
なぜ読めたかというと、以前働いていた会社で感じていた違和感から、プライベートで自分を欺いて結婚生活を送っていたときの居心地の悪さまで、「なんかわかんないけど苦しいな」というそれらの正体について書かれている気がしたからです。
ティール組織は読まなくていい
ティール組織は、自分には必要な本でした。
他の人にも読んで欲しいなと思います。
読んだ人と、本に書かれていることについて議論したり、働き方について一緒に話したりしたいなぁと思います。
でもこれ、別に無理して読まなくてもいいんじゃないかとも思うんです。
イヤイヤムリヤリ読んだって、得るものは少ないし、大切な時間を浪費してしまいます。
課題図書にする会社も多いのではないかと思うのですが、いま「読みたい」「必要性を感じる」と思わないなら、いったん忘れて目の前のやるべきことに集中するのが得策です。
ティール組織の解説やまとめブログも読まなくていい
ティール組織をわかりやすく解説したり、まとめたりしているブログがたくさんあります。
わかりやすいなぁと思った記事をいくつか紹介しますね。
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・ティール組織とは?3つのエッセンスの基本を実務的に丁寧に解説!
記事まとめもありました。
・ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現(teal organization)まとめ
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これらの記事は、本当にわかりやすく凝縮して説明してくれています。
「こういうことできる人はスゲーなぁ…」と感心してしまいます。
ぼくがまとめてもこの人たちにはかなわないと悟ったので、あえて逆にティール組織の細かい内容には触れずに、主観だけ書きました。
ただ、これらのわかりやすいまとめさえ、興味がなかったりピンとこないなら時間の無駄なので読まない方がいいです。
ていうか、ティールとかもういいから
ぶっちゃけ、ティール組織がどうとか、本読んだか読まないかなんてどうだっていいのです。
たとえば、進化する組織になっていくために重要な3つのポイントは、
・セルフマネジメント(自主経営)
・ホールネス(全体性)
・エボリューショナリーパーパス(存在目的)
と書かれていますが、この本で言いたいことって、実は「ごく普通のこと」なんですよね。
ぼくなりにかみ砕いて言い換えると、
・自分で考え行動し、自分自身をコントロールすること
・自分ひとりから、他者とつながり、社会へと広がっていくこと
・目的を持って事にあたること
ね?ごく普通に、誰しもそうしたいと思うことじゃないですか。
あ、いや、この本をバカにしているわけではありませんよ!
実際、本の中には、これを組織が実践していくやり方や、世界にあるティール組織が実際にどのように運営されているかの事例まで書かれているんだから、すごい本です。
本気で悩んでいる人に勇気を与えてくれる素晴らしい本だと思います。
でも別に、「ティールだ!ティールだ!」と騒ぐ必要はないのです。
自分が「そうしたい」「そうある必要がある」と思っている、ごく普通のことから実践すればいいだけの話なんです。
では、実際にどこからどうやってはじめたらいいのか、書いていきます。
ひとつやれば全部できるようになる
ぼくとしては、「全体性」を持つことさえできれば、ほかの2つもできるようになると思っています。
まずは全体性について、ティール組織から引用させていただきます。
組織側は、社員がありのままの姿を職場に持ち込んでしまうと、事態がすぐに混乱し、収拾不能に陥ることを恐れている。軍隊は昔から、兵士たちに「自分はいつでも交換可能なのだ」と思わせておいた方が統制しやすいことを知っている。それと同じである。
一方従業員の側は、ありのままの姿をさらけ出して職場に現われると、非難されるか馬鹿にされるか、奇妙で場違いな人だとの印象を周りに与えかねないことを恐れている。そこで、仕事用の仮面の後ろに自らを隠しておく方がはるかに安全だと考える。
統制について、個人としては別にそうしたいわけでもないし、自分がされたら嫌だと思うハズなのに、組織ではなぜかそれが「正しいこと」や「そういうものだ」になってしまいます。
そうすると、お互い「本当の自分」を隠し合い、素朴な疑問や、感じている苦しみを素直に表明することが難しくなります。
全体性を失うプロセス
ぼくが過去に経験したことを踏まえて順番に見ていくと…
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・人から与えられた役割を演じるために、素朴な疑問を持っている自分や、苦しみを抱えている自分を隠す。
・お互いに目の前の仕事に対する「なぜ?」が聞けなくなり、知ることを諦め、勝手に解釈したりする。
・納得しないままに目の前にある与えられた「やるべきこと」をやる。
・やるべきことをやる理由を自らつくりだして、自分を言いきかせる。
・やりたくもないし、必要だと感じてもいないのに、自分がやっていることを正当化する。
・立場を通じて、人を巻き込み、人を動かす。
・巻き込まれた人も、自分を言いきかせて、目の前のことをやる。
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そうすると、納得もしてないしやる理由もないことをやらなければならない状態が当たり前になり、全体に広がっていきます。
自分の役割を全うすることがメインの仕事になり、自分と他者との比較がはじまり、場合によっては実はやりたいことでも必要だとも思っていないことで、人と人が対立したりします。
感情的になり、分離・分断を自ら選択する。
孤独は寂しいと思っているのに、孤独を自ら選択し、向かっていく。
これが、全体性がなくなっていくプロセスです。
上記のプロセスを見ればわかる通り、自分で考え行動する・自分自身をコントロールすることも、目的を持って行動することも手放してしまっています。
全体性を取り戻すプロセス
逆に、全体性を取り戻すプロセスはどうなるかというと、
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・自分が苦しさや疑問を持っていることをどんどん思い出す。
・それらを発信し、ひとつひとつ解消していく。
・自分の中にある「正しい」「間違っている」「楽しい」「苦しい」「心地よい」「気持ち悪い」に素直になれる。
・自分で自分のやりたいことや必要だと思うことがわかる。
・自分でやりたい・必要だと感じたことをやると決める。
・自分で決めたことをやり抜く
・やり抜くプロセスでひとと関わり、組織と関わる
・人を巻き込むタイミングで「なぜやるのか?」が明確になっていく
・組織と社会とのつながりがわかってくる
・より多くの、様々なタイプの人と協力していく
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全体性を取り戻すプロセスでは、自主経営も、目的意識も取り戻すことになります。
まずはじめにやるべきこと
ティール組織という言葉からはじめるのではなく、シンプルに、たったひとつ、ここからはじめればいいんじゃないか?という提案です。
それは、
自分がいまの組織で働いている理由に素直になる
ことです。
この部分だけは、本当に、本当に素直になることです。
この部分だけでいいから、本当に、本当の自分をさらけ出してみることです。
さらけ出したうえで、自分が求めている理由や結果に直結するような仕事だけをすればいいのです。
たとえば給与のために働いているなら
たとえば、ぼくも少なからずそうなのですが、「給与を上げて欲しいものを買うために、この会社にいる」という場合。
まず、会社で働きながら自分の給与を上げたいのであれば、シンプルに給与は利益からの分配なので、全体の売上を上げたりコストを下げたりと、全体に働きかけて大きく動かさなければ、給与は上がらない仕組みですよね。
だから、自分の給与を上げたければ、なにかしらで全体をより良くしなければならなくなります。
それには、他の人の協力も必要になるので、結果的に協力してがんばった人も給与が上がってしかるべきでしょう。
でももし、自分だけの取り分を上げたければ、それはもう独立してがんばるか、ダブルワークでもトリプルワークでもして稼ぐのが最も適切な方法ではないでしょうか。
とか、他にも「その会社が好きだから」「会社がやっている事業に共感しているから」「その仕事が好きだから」「そこで働く人と一緒に仕事がしたいから」「なんか居心地がいいから」「転職が怖いから」などなど、素直に正直になれば、いま現時点における「働く理由」が何かしら出てくると思います。
ぼくがバリューブックスで働いている理由
かくいうぼくは、「バリューブックスで働く人たちと、一緒に気持ちよく仕事がしたい」から、バリューブックスにいます。
もちろん給与のためでもあるし、給与は上げたいと思っています。
より影響の範囲が広い重要な仕事もしていきたい。
なんか居心地がいいからというのもあるかもしれません。
ぶっちゃけ、どれかが欠けたら続けていくことは難しくなります。
でも、そういうことと折り合いをつけながらも、「人と一緒に気持ちよく仕事がしたい」というのが一番の理由です。
自分がここで働く理由と向き合う
つまり、ぼくは本当は、
「お金や給与を気にすることからは解放されたいし、大きな影響を及ぼしたいという欲望からも解放されたい。」
そう思っているハズです。
だから、それらの感情をコントロールしながらも、
「みんなと一緒に気持ちよく仕事をする」
それを目指してできることをやっていけばいいのです。
自分のままであること
役割を演じなければ、強い自分でいなければ…
正直な自分は受け入れてもらえないとか、評価が落ちるかもしれないとか、そんな不安や恐れに屈することなく、ふつうに、そのままの自分でいればいいのだ。
まずは、その場所でその組織で自分が働く理由と向き合い、隣の人に伝えてみたり、その相手にも同じように話してもらえばいいんじゃないか。
本当に、普通に。
同じ会社で一緒に働いている人たちと何ら変わりのない、ひとりの人間であることがわかれば、同じような悩みを持っている人なんだと分かれば、そこから全体につながっていくハズです。
まとめ
「自分がここで働く理由」と向き合い、誰に対してもその理由を言えるようになった上で、
「なんでですか?」
「これなんかおかしくないですか?」
「こうやった方が良くなると思うんだけど」
「これやるの、本当に辛いし苦しいんです」
などなど、そのままの自分で、思ったことや感じたことを表明できるようになれば、そしてそれを自分の手でより良く変えていくことができれば、活動や影響力は、その人なりに自然に広がったり深まったりするハズです。
ティール組織がどうとか、そういうことじゃなくて、自然に普通に戻っていくことが大切なのだと思います。
そして、これも自然で普通なことですが、「自分がされたらイヤなことはしない」ことです。
他者が素朴で素直な疑問を持ち、思ったことや感じたことを表明し、そのままの自分であることや自分の手でより良く変えることを、否定したり遮ったり抵抗したりしないよう、十分に気をつけることです。
「相手は自分と同じ、ひとりの人間であり、立派な大人である」と認識し、他者の存在を自分のことと同じように認められなきゃ、ティール組織もなにもありゃしません。
まずは自分が素直になり、そのうえで自分と同じように素直になった相手をひとりの人間として認めることからはじめればいいのです。
ティール組織とか、そういうことじゃないのです。
でも、この本は様々な問いに答えてくれる良い本だと思うので、できれば読むことをオススメします!
7/12まで、キンドルなら半額で購入できるようです。
それではー!