ここに「信濃かしぐるみ」がある。
大人のくるみ
少し時間のたった「乾燥したかしぐるみ」は、「パキッ」という気持ちの良い音を立てて、簡単に割れる。
でも、中身の仁(じん)についている皮は、乾燥しているせいか剥くのは至難の技。
皮には渋みがあり、噛めば噛むほど経験深い大人の味わいが、口の中に広がる。
子どものくるみ
採れたての「生かしぐるみ」は、殻がしっとりしていてキレイには割れない。
でも、中身の仁(じん)についている生ぐるみの皮は、ペリペリと気持ち良く剥ける。
皮のない、真っ白な仁(じん)を食べる。
噛めば噛むほど、甘くクリーミーな味が解放されていく。
なにものにも汚されていない、純粋なエネルギーを持つ無邪気な子どものような味わいが、口の中を駆け回る。
どちらも自分
ぼくやあなたの中には、乾燥した経験深い大人のような仁もあれば、みずみずしく真っ白で無邪気な子どものような仁もある。
そして、そのどちらにも、くるみと同じようにそれぞれの味わいがある。
どちらが善い悪いではなく、
どちらもあって自分だし、
どちらも噛めば噛むほど味は深まり、
それぞれに、感動があり、
それぞれが、人を幸せな気分にする。
大事なのは殻を割るその瞬間。
その瞬間に、結果はすべて決まっている。
どちらも自分で、どちらも大切。