「無意識に生きる」という素晴らしい積み重ねの上に、わずかでも「生きている実感」をプラスしていきたい。:上田市の「小宮山量平 Editor’s Museum」に行って感じたこと。

 
「上田なんて、自然は素晴らしいけど他はたいしたところはないよ」
なーんて思っていましたが、どうも違うようなんですわ。

 

ぼくは、上田市には大学時代3年、移住してから10年、合計で13年住んだことになります。
が、近頃、上田市について知らないことが本当に多すぎるということを知って、マジでビックリしているところです。
惰性で生きていた毎日に危機感を覚え、気持ちを吹っ切ってみてからは、本当にいままで無意識に漫然と生きていたんだなーと実感しております。

 

人間はただ生きているだけで素晴らしいんですけど、無意識に生きている時間を少しでも意識の中に取り込んでやると、ブワッと生きている実感が溢れてきて、世界は一気に広がっていくんだということが最近よくわかってきました。
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存在すら知らなかった異次元空間はどこのまちにもある

 
この前、上田市のまちづくり的なプロジェクトに参加させてもらっている関係で、「小宮山量平さん」という方の娘さんが運営されている「小宮山量平 Editor’s Museum」というところに行ってきたんです。
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大変失礼ながら、「小宮山量平?誰それ?」って感じで行ったのです。駅前のビルに、そんな場所があることさえ知らず、こういう機会がなければ訪れなかったであろう場所。ずっとそこに存在していたのに存在すら知らなかった人がいて場所があるんだなぁ、と何とも言えない気持ちになりました。
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入ってみると、まるで異次元空間に迷いこんだような感覚が。。。
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上田市出身の出版・編集界の巨星「小宮山量平」さんとは?

 
小宮山量平さんは2012年4月にすでに亡くなられた方なのですが、戦後間もなく「理論社」という出版社を創業し、戦争に参加した経験から、「戦後民主主義を担う出版人として”自分の足で立ち、自分の頭で考える”という自立的精神の確立」をめざしたそうです。

 

1960年代からは「自立的な人間の誕生を目ざす戦後精神の輝きは、もはや次の世代に期待する以外はない」と言い、大人を刺激するよりも子どもに眼を向けるようになり、創作児童文学の世界に重心を移していったとのこと。
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小宮山さんはあるタイミングで大きく舵を切り、次世代を担う子どもたちのために「出版」という切り口で力を注ぎました。

 

小宮山さん自身は誰もが知っている「タレント的な」有名人ではないと思います。現にぼくは知りませんでしたので。
だけど、多くの名だたる文学者を輩出し、多くの人に慕われた存在であり、知る人ぞ知る「巨星」と呼ばれる存在であった、ということがこのEditor’s Museumに入ってわかったんです。

 

これは灰谷健次郎さんの手紙。
文章から親しさがにじみ出ています。
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次の世界を切り開いていく子どもたちに大人は何ができるのか?

 
ぼくには小宮山量平さんほど熱い想いも力もありませんが、「もはや次の世代に期待する以外はない」と言い放った彼の言葉にものすごく共感します。自分自身もそうですし、周りの人を見ていても思うのは、「染みついた価値観や考え方や習慣は変えられない」ということ。

 

ぼくら人間は「無意識」に支配されて生きています。
本能的に反応してしまうこともそうですし、こうしなければならないと一つの価値観や考え方に固執してしまうこともそうです。
そしてそれらは、生まれついてどうしようもないものもあれば、環境によって育てられたものもある。

 

でもそれを、途中ですべて捨てて、真っ新な人間として生まれ変わって生きていこう!なんてことは間違いなくできません。良いことも悪いこともひっくるめて、その人の個性ですし、人生を30年40年も生きてくれば、これまで得たものをすべてごっちゃまぜにして、活かしながら生きていく術を習得しなければならないんじゃないかと。

 

ただその中で、「もしこんな考え方が体の根底に流れていれば、苦しまずに生きていくこと、人生を楽しむことができるのに」というものは間違いなくあります。その時代にしか受けられなかった影響が、ずっと尾を引いて新しい時代を生きる子どもたちの心をむしばんでいくことは、避けなければならないし、避ける方法はあるハズ。

 

小宮山さんはそのことを言っている気がしています。
それはそれぞれの大人がそれぞれの切り口で表現して、子どもたちに渡さなければならないものだよ、そういう想いを込めてバトンをつないでいくことで世界は循環していくんだよと、この部屋を通じて言っている気がしました。
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まとめ

 
小宮山量平さんは、華々しく世の中で立ち振る舞うのではなく、裏方として子どもたちの世界を支えた素晴らしい人だったのだと想像します。直接会うことができたのなら、受ける影響はもっと大きかったんだろうなと悔やまれます。

 

そんな人が上田市出身であり、亡くなるまで上田市で活動されていたことを知り、なんだかちょっとだけ自分が住んでいるまちを誇らしく思いました。(生っ粋の上田人ではないけど笑)

 

 

行くべき場所、知るべき人、見るべき現象にちゃんとフォーカスできれば、これまでの時代の流れや現在の人のつながりから、今ここにいることのありがたみとこれから先をどう生きるかを考える良い機会を得ることができます。そんな場所や人は、どのまちにもあるんじゃないかと思います。

 

ただ、知らないだけ。

 

2015年ももうすぐオワリです。
2016年は、「無意識にただ生きる」という素晴らしい積み重ねの上に、ほんのわずかでも、生きている実感をプラスしていきたいなと思いました。

 

はい!それではー!

 

ABOUTこの記事をかいた人

東京都北区出身。 これまでの経験と読書遍歴を活かして、現在は動画制作・コミュニティー運営・速読読書会開催・YouTubeチャンネル運営・オンライン講座を通じて、人が自らの才能を発揮し自由に生きるためのサポートをしています。