バカでもわかったインダストリー4.0!ドイツがあなたの生活を劇的に変えようとしている。

 
ドイツがモノづくりですごいことしようとしているみたいです。
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photo credit: Ulm, Blaue Stunde via photopin (license)

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ドイツの人はとても理論的に情報を組み立てて物事を考える人達のようで、めちゃくちゃキッチリしているイメージがあります。以前に石造りの大聖堂の話を書きましたが、正確に真四角にできた石をひとつひとつ正確に積み上げて、何百年も掛けて教会を立てる人達です。信じられんわ。
<参考記事>人間関係に悩んでいるあなたは、ドイツのウルム大聖堂と日本の伊勢神宮から違いの生まれかたを読み解け!

 

今ドイツは、「Industrie(インダストリー)4.0」というビッグなプロジェクトを国を挙げ、官民一体で推し進めているそうです。どうしてそういう思考に向かったのか?歴史を紐解きながら想像してみたいと思います。

 

 

インダストリー4.0とは?

 
インダストリー4.0は「第4次産業革命」とも言われています。
第1次はイギリスから始まった石炭・蒸気機関を動力源とする毛織物を基幹とする軽工業の発展、第2次はアメリカ・ドイツから始まった電力による電動機、石油による内燃機関の発明による工業の飛躍的発展です。
1次2次はエネルギー革命。
 
第3次は電気とITの融合による革命。制御ロボットによる生産システムの自動化などです。
 
で、第4次。すべての工場が生み出し集められたビッグデータを、(おそらく)AIを使ってサイバー空間で処理し、すべてをつなげて、すべてをスケジューリングして全体をムダなく効率良く稼働させる仕組みを構築しようとしているのが、ドイツが提唱するインダストリー4.0。

 

インダストリー4.0をひと言で言ってしまおうとすれば、「世界中のすべてがつながり、状態を把握し、ムダなくスケジューリングされるシステム」となるでしょう。

 

 

例えば、、、

 
例えば、
・①と②と③という商品がそれぞれ3個づつ欲しいお客さんがいたとします。
・そこに個別にカスタマイズを加えて欲しいという要望があり、標準状態では出荷できない。
・カスタマイズには、①は1週間、②は2週間、③は3週間掛かるとしましょう。
・①の商品はT社とS社のカスタマイズが、②の商品はC社とS社のカスタマイズが、③の商品にはT社、C社、S社の3社それぞれのカスタマイズが必要だとします。
 
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そうすると、普通に仕事を並べると上の図のように30週間かかりますが、各社の空き状況が分かって連携できれば、なんと18週間ですべての仕事が完了するワケです!
 
さすが1人当たり年間労働時間1317時間のドイツ。(2012年時点。ちなみに日本は1765時間。でもこれは非正規労働者が増えたからとの話もある。)1つの会社でこういうことを実現することすら難しいのに、国で、世界全体でそれをやろうとしているのがスゴい。

 

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歴史が語るドイツ人の特徴

 
こういう「すべてがつながる仕組み」を、ドイツはインダストリー4.0というビッグプロジェクトの名のもとに産官学で構築しようとしているらしいです。
 
これって、言ってみればライバル会社が自社工場の状況をさらけだしてみんなで一緒にお客さんに対応していこう!とする仕組みですから、日本でやろうとすると「ふざけんな!」「絶対あり得ない!」とかなりそうな気がするんですけど。
 
そういう感情は、ドイツ人にはないのかというと、同じ人間だからあると思うんですよね。でもドイツ人は感情的になったとしても、最終的には合理的な判断ができる方々なんでしょう。

 

ドイツは東から侵入してくる蛮族対策として、それを追い払える力を持つ強い男を王様に選んでいたそうです。でもその王様達はことごとくイタリアに行って贅沢三昧をしてドイツの財政を圧迫した。
 
「こんなこと繰り返してたらただのアホやん!」ということで、1350年くらいに王様になったカール4世という人が、その時ドイツ内の7つの地域で力を持っていた人達にドイツ王を選ぶ権利を与えたそうです。
 
みんなで知恵をだせば、一時の感情に流されたりしてアホな王様を選ぶことはないだろうということ。
そこから合理的な判断をするドイツが生まれたのではないかと思われます。

 

 

インダストリー4.0はドイツ人にしかできないプロジェクト

 
ドイツ王を選ぶ権利を7人に分ける法律を作ったことで、7つの勢力の支配が固まりました。これが、ドイツの分割を決定づけたと言われています。
ドイツは合理的に分割されたのですが、人間の本能的には「つながりたい」という欲望があります。
 
分割された歴史が長かった故に、国としてどうやってつながるのかを考えていたのかもしれません。

 

感情を持ちながらも、感情だけではなく合理的に判断できる民族だからこそ、こういうプロジェクトを進めていけるのです。日本だと利権とか政治とかなんやらで、国会で悪口の応酬ばっかりして、まったく進まない気がしちゃいます。

 

 

まとめ

 
人々のニーズが多様化・個性化し、世界中の情報が手に入れられ、自分に合ったものをどこからでも買えるようになった今日。企業はその個性化した1品物の「閉じていく」ニーズに、利益が出るように標準(量産)化していく「開いていく」モノづくりをしなければならないという、めちゃくちゃ複雑で難しい状況に置かれています。
 
個々に「閉じていく」ニーズに一つ一つ対応していくためには、単純に考えるとラインナップを増やしたり、人の手を増やしたり、生産システムを増やしたりと「開いていく」方向になります。ですがそんなことしたら生き残っていけませんよね。
 
インダストリー4.0は、「個性化と標準(量産)化」というこれからのモノづくり企業の命題を、対応する窓口を開いていくのではなく、思考やつながりを広く開いていく方法で解決していこうとしています。

 

もしかしたら工作機械業界だけではなく、世界中の人々の生活に影響を及ぼすビッグなつながりを生み出す可能性もあるインダストリー4.0。
一時の感情だけで判断せず、自分は本当はどう生きたいのか?を意識して、こういう時代の波に乗りたいものです。
 
それではー!

 

ABOUTこの記事をかいた人

東京都北区出身。 これまでの経験と読書遍歴を活かして、現在は動画制作・コミュニティー運営・速読読書会開催・YouTubeチャンネル運営・オンライン講座を通じて、人が自らの才能を発揮し自由に生きるためのサポートをしています。