ぼくたち人間は、内臓や血管を自らの意思で動かす事は出来ない。
逆に言うと、
・無意識に呼吸をし、
・食べたものを消化するために胃を動かし、
・体温を維持するために汗をかく、
という生命活動を、知らないうちに自律神経がしてくれている。
生きるために必要なことをすべてを意識してやらなければならないということは、何か忘れたら死んでしまうということだ。
自立して動いて、命を維持してくれている自分の体には感謝したい。
さて、ここで言いたいのは「ぼくたちは胃の働きをコントロールすることはできない」ということである。
胃と脳は、似ているが違う
「胃」というもの
胃は、ぼくたちが口の中に放り込んだものをなんでも受け入れ、それらに臨機応変に対処してくれている。
何がくるかはわからない。
ただ、来たものを懸命に処理するしかない立場にあるのが「胃」だ。
そんな胃も、機能と処理能力に限界はある。
ジョコビッチは著書『ジョコビッチの生まれ変わる食事』の中で「食物は情報である」と断言している。
胃は脳と同じように、大きすぎる食べ物(=情報)を細かく分解するには時間と労力がかかるし、多すぎる食べ物(=情報)を処理しきれずオーバーフローしてしまうことだってある。
「脳」というもの
脳が考えることをあきらめたり、やる気をなくして行動することを放棄すれば、現実は1ミリも動かない。
脳を動かし体を動かさねば、やるべきことは雪だるま式に溜まっていき、それでもやらなければすべてを捨ててしまうしかなくなるかもしれない。
それでも、脳に入った誤った情報や、放棄した情報については、仕事が溜まったり、現実が動かなかったりと見えるものが比較的多いので、事実と結果から振り返ることさえできれば、脳に入れる情報を変化させたりすることも可能だ。
厄介なのは、食べ物という情報を処理する役割を担っている「胃」なのである。
胃が厄介な3つの理由
ポイントは3つだ。
①処理しきれなかった食べ物(=情報)や、細かくできなかった食べ物(=情報)がその後どうなるか、結果が見えにくい
②体という宇宙は寛大なので、(よっぽどのモノでない限り)良くない・誤った情報が入ってきても「ルーティンの力」でいつもの通りに処理し、体内にその情報を送り込み受け入れてしまう
③胃の中に入れた食べ物(=情報)が、体に恐ろしい結果をもたらすまでに、ぼくたちがそれを忘れるには十分すぎるほどの時間がかかる。
脳は、入ってきた情報を意志力でコントロールすることができる余地があるし、行動と結果を振り返ることができれば、入れる情報を変えるという選択もできるが、胃は違う。
脳と胃は、情報を処理し、体全体に指令を送るという意味では機能として似ていると思う。
でも、コントロールできるかできないか、結果が見えるか見えないかという意味では、大きな違いがあることがわかってきた。
胃にインプットする情報には十分配慮する
胃に入れる情報は十分に配慮しなければならない。
胃は情報を選べないし、入ったらまったく見えないし、どうなったか結果がよくわからず、すぐに振り返れないからだ。
ここで、胃と脳は対決しなければならない事態が発生する。
脳が欲している情報(=食べ物)と、体が本当に欲している情報(=食べ物)はまったく異なるからだ。
脳は、生命維持のために血糖値を上げたいと思っている。
原始の時代に糖は貴重だったようで、摂れる時に摂らなければやられてしまう、という情報が遺伝子に刻まれている。
甘いものを食べたくなる衝動を抑えるのはなかなかに難しいのだ。
でも、いまの時代は死ぬほど血糖が足りなくなることはない。
その上、目の前の世界は糖分で溢れている。
でも、余分な糖分は体が本当に欲しているものではない。
脳(なのか遺伝子なのかわからなくなってしまったが…)が欲しているだけなのだ。
ここで、正確に言うと胃は戦えない。
人間の意志を司っているのは脳だから、胃は沈黙しているしかない。
だから。
胃に入れる情報には、十分配慮しなければならない。
体が本当に欲している食べ物(=情報)を知る
体が本当に欲している食べ物は、いまの自分の脳に聞いてもわからない。
脳をコントロールするために、食べ物についての正しい知識を得ることが重要になる。
血糖値を急激に上げる・上げない食べ物は?
体を冷やす・温める食べ物は?
血液をドロドロ・サラサラにする食べ物は?
体が無駄なく栄養を吸収できる・できない食べ物は?
食べ方は?食べる時間は?食べる順番は?
何が体に良くて、何が体に良くないのか?
沈黙しているからこそ、耳を澄まさなければならない。
まとめ
情報を選べない、見えない、結果を振り返れない。
そんな状況からは脱出しなければならない。
これは胃に限らず、脳でも、仕事でも、人間関係でも、結構多くのことに当てはまることかもしれない。
それではー!