【良風土】会社にとって本当に大切なことをすべて同時に実現するリッツカールトンホテルのたった一つの「仕掛け」

 
リッツ・カールトン・ホテルの元支社長高野登さんが書いた本。とても面白かった。
サービス業に限らず、どんな企業で働いていても大切なことが書かれています。
 
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photo credit: matt.hintsa via photopin cc

 

 

中でも、私の「ツボにハマった」エッセンスをご共有。
 
リッツ・カールトンは企業理念や哲学がしっかりしていて、さらにそれを毎朝ミーティングで何らかの形で共有しているそうです。そうすることで「何のために目の前の仕事をやるか?」がブレなくなってくると、生き生きと仕事ができるようになるのかもしれません。

 

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「まず、やってみよう!」の精神で

リッツ・カールトンでは「感性を磨く」「お客様との絆の糸」ことを大切にしています。そして、お客様との絆を強いものにするためのチャレンジによって、例えば失敗したとしても、その失敗によって磨かれる感性もあるし、誠意が伝わればその失敗がキッカケで絆が修復されより強い糸になることもある、ということがエピソードをまじえて書いてありました。
 
以下、引用です。

 

失敗を恐れていては何もできません。企業としては、社員がワクワクしながら「まず、やってみよう!」の精神を発揮できるステージをつくってあげることが大切だと思います。

 

社員に余計なことをやらせないよう、コントロールするのは難しいことではありません。「失敗したら、許さない」という暗黙の空気で縛りつけておけば、社員は「+αのサプライズ」を考える気にはならないものです。

 

けれども、それでは現場に「余計なことはしない」体質が醸成されてしまいます。それよりも、社員が失敗を恐れずにさまざまなことに挑戦できる環境を整えてあげておいたほうが、社員のやる気は高まります。同時にみずみずしい感性も育っていきます。

 

 

お客様が投げてくれる絆の糸

企業で働くなかでは、これまでの経験則や失敗から生まれた「ルール」がたくさんあります。そのルールは社内の働きやすさを生み出すためにできたものが多いかもしれませんが、でも元々は、「お客様の要望に応える」ために、社内の仕事がスムーズにスピーディーに回るようにつくられたもののはずです。
 
ですが、ルールを守ることに固執(これは日本人の長所でも短所でもあると思いますが)することで、「お客様との絆の糸は切れていませんか?」という、そもそもルールを守ることの本質を確認しなければならないのだということが書いてあります。
 
以下、引用。

 

(朝九時に深夜メニューの注文が入った、食材はあるけど「ルール違反」、さあどうする?という状況で)
ところがお断りするケースがほとんどです。なぜでしょうか?
理由は簡単です。ルームサービスの電話受付係としては、マニュアルとルールに則って作業を進めていくからです。(中略)そのルールを守ることは組織論としてはもちろん大切なことのはず。けれどもさらに大事なのは、お客様のご要望にお応えすることです。そうでなければ、「現場の力関係を気にして、社内の働きやすさを優先し、お客様との絆を切る選択をする」ということになりかねません。

 

これはあらゆるサービス業に共通します。お客様からのご依頼はすべて、お客様が投げかけてくださる絆の糸であると位置づける。そして、その糸に気づき、受け止める感性を磨き続けることで、サービスマンとしての成長があるのだと思います。

 

 

「社員と会社の絆」を表す一つのメッセージとは?

リッツ・カールトンでは、「社員は会社にとって最も近くて最も大切な社会である」と定義しているそうです。そして、会社には社会に対して価値を創り出す企業責任があり、それなら会社は社員にとってどんな存在でなくてはならないのか?

 

それを考えるとき、一つの重要なキーワードが浮かんできます。
「パーソナル・グロース(個人としての人間的成長)」つまり会社には、社員個人を尊重し、その人が成長するためのステージを用意する使命がある、ということです。

 

リッツ・カールトンでは、社員と会社とが「迷いのない信頼関係」で結ばれ、「みずみずしい感性」で仕事ができる舞台づくりを目指しているそうです。
 
どこの会社でも、誰でも、大切なことってわかっているとは思います。リッツ・カールトンがすごいのは、その大切だと思ったことを短い言葉にまとめたあとに、それがどうしたら現場で実現されるかという「工夫」を考え、日常的に回る「仕掛け」をつくっていることです。

 

当たり前のことかもしれませんが、、、これが一番大事なことだと私は思います。素晴らしい理念も、正しい言葉も、ただ言っているだけならただの言葉です。言っているだけなら、結果など一つも変わりません。
打ち手につながる「仕掛け」を作って現場が動く。結果に繋げるためには「仕掛け」をつくって「行動」する。これが欠かせません。

 

 

すべてを実現するためにリッツ・カールトンが生み出した、たった一つの「仕掛け」とは?

「迷いのない信頼関係」を築き、「みずみずしい感性」を育て、「パーソナル・グロース(個人としての人間的成長)」のステージを作ること。大切なこと3つを、リッツ・カールトンはたった1つの「仕掛け」によって実現し、現場が動いているのです。
 
その仕掛けが、「一日二千ドルの決裁権」です。

 

リッツ・カールトンでは社員一人ひとりに「一日二千ドルの決裁権」が与えられています。(中略)この決裁権は「自分の自由裁量でいくら使えるか」ということではないのです。それはほんの一面的なことに過ぎません。二千ドルの決裁権の意味、それは会社が「社員の成長を支える仕組み」として考えだされた機能であるということ。そこが重要なのです。

 

ではなぜ、「一日二千ドルの決裁権」がすべてにつながるのか?

 

会社として厳しく経費をコントロールすることは重要でしょう。ただここで考えてみるべきことは、近視眼的に見過ぎてしまうと、それによって大切なお客様との糸が切れてしまうことがあるということです。そしてもっと重要なのは、最も大切な人材である社員の成長の芽を摘んでしまう可能性もあるということです。

 

人は誰でも、新しいことに挑戦しながら成長していくものです。一人ひとりの独創性や、自由闊達な議論から生まれる発想が生かされる職場。そこからさらに新しい感性が芽生え、育っていく。
社員の「パーソナル・グロース」こそが会社にとっての喜びであるーそのことが社員に実感として伝わるためにも、深い信頼関係に裏打ちされた、職場という舞台づくりを心がけなくてはならない。

 

 

すべてが「一日二千ドルの決裁権」によって成り立っています。
みずみずしい感性は、お客様のためにをまず考え、失敗を恐れず思い切って行動できることで育てられます。
パーソナル・グロース(個人の成長)は、新しいことに挑戦することで実現されます。
信頼関係は、この「仕掛け」を本気で徹底的に実行するという経営者の行動により、深まっていきます。
 
リッツ・カールトン図
これがリッツ・カールトン図(勝手に命名。笑)

 

すべてを同時に成り立たせるための「打ち手」を探すって、なんだかものすんごく魅力的で興味が湧いてきました。これからそういう事例にアンテナを張ってみようと思います。

 

あなたの人生の文字盤が見つかることを願っています。
それでは!
 

ABOUTこの記事をかいた人

1980.1.1 東京生まれ YouTubeチャンネル『シンプリィライフ』では、本を参考にしながら無意識の思い込みから自由になる方法をアニメーションで解説しています。本業は古本買取サービス「バリューブックス」のSEOマーケティング担当。