昨日、仕事でお客さんと話したときに強く感じたことを書いてみます。
photo credit: matthileo via photopin cc
これまで日本は圧倒的な技術力による差別化で、「世界の工場」としてものづくりNo.1の座についていましたが、現在は人海戦術的ものづくりでコストによる強力な差別化を武器にしたアジア大陸の猛者にあっという間にNo.1の座を奪われてしまいました。
手段を目的としてしまう日本のものづくりだからこそ、技術の深い深いレベルまで到達してきたのだと思いますが、もはや技術力だけでは世界に太刀打ちできない状況になっているのだと思います。
でもここで「技術ではなく、コストだ!」と安易に考えるのは良くないのです。日本の強みはやはり技術力なのだと思います。表面的に物事を捉えて、安直な選択で先に進んではいけないのです。
要は、「何をやって、何をやらないか」です。世界のものづくり企業と競争して勝つためにも、何かを取って何かを捨てるという「トレードオフ」によって差別化をし、尖っていかなければ、重力場に吸い付けられるように暗い谷底へ落ちて、遂には日の目を見れなくなってしまいます。
何を取って、何を捨てるのか?もちろん、ある一定のラインでどちらも実現させなければお客さんに価値を感じてもらえないと思いますが、ここぞ!という分岐点でどちらを優先するのか?そもそも何を実現することでユーザーに価値を感じてもらえるのか?
つまり、「なぜ」ユーザーが価値を感じるのか?というところにつながっていきます。
日本のメーカーが競争優位に立てるポジションは、これまで培ってきた安心できる「技術力」のはずです。
これを世界の動きに押し流されて見失ってしまっては、競り勝っていくことは難しいと思います。
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お客さんが「技術を普遍化していくことが重要だ」と言っていました。
日本が技術力を生み出してきた源泉は、「技術を普遍化」していこうとする精神なのではないかと、お客さんの話を聞いていて思いました。一つの技術を、目的を忘れて追求していく…
そういう意味では、手段を目的化してしまう日本の「悪さ」は、日本の「良さ」でもある。
使い方や組み合わせによって、同じ目的でもそれに対応する技術は変わっていくのです。変わらないように、変えていくこと。それが「技術の普遍化」ということだと私は思いました。
様々な状況によって求めるものが変わっていくという理解と、技術のもっと深い部分を捉えようとすること。これが「技術の普遍化」であり、「技術力」の源泉なのだろう、というのが今回学んだことです。
様々なことが世界的にフラット化していくものづくりの分野で、私たちは何を選んで、何を捨てるのか?これをはっきり意識して選択していく必要があります。「全部大事だ!」なんて言っていたら、差別化できずに競争に勝ち残っていくことはできません。「ベストコモディティー」を目指すのは辛く険しい道のりが想像できるし、モチベーションなんてまったく上がりません。
これまで培ってきた個人や企業が持っているスキーム(習慣)を大切にし、強みを再確認して、何を選んでいくかを決めていく。
「技術を普遍化する」という考え方は、日本の今後のものづくりにとってのキーワードだと思いました。
それでは。
参考にした本。
これ、すごく勉強になります。